「家電量販店の力で、にぎわいを高めればいいのでは」との指摘も
高野区長は嘆願書で、「今まで築き上げてきた『文化』のまちの土壌が喪失してしまう」と指摘。少なくとも1~4階の低層部へのヨドバシカメラ出店には、「断固とした立場」を貫いてほしい、と西武HDに訴えている。
池袋では近年、ヤマダ電機やビックカメラが大型店を構え、激しい競争を展開している。その一方、雑貨大手の東急ハンズや丸井グループの「池袋マルイ」が2021年に閉店するなど、街の雰囲気が徐々に変化している。
そんなこともあって、区民の間では「せめて西武池袋本店だけは、今まで通り残ってほしい」という声は根強く、高野区長の嘆願を評価する人も少なくない。
ただ、「区長は他の家電量販店には文句を言わず、ヨドバシだけに敵意を示しているようでおかしい。そもそも行政が店の運営に口を出すことは問題だ」との批判も出ている。
「百貨店がよくて、家電量販店が悪いという理由は何なのか」との指摘もある。家電量販店の力で、にぎわいを高めればいいではないか、というわけだ。
西武池袋本店の今後のあり方はまだ明らかになっていないが、行政や区民を巻き込んだ「論争」がしばらく続きそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)