世代が上がるにつれて少なくなる「出世欲」と「経営欲」
次に、「転職への意識」を探るために、相反する傾向の質問項目を闘わせて分析した。(A)「スキルアップには転職も必要」VS(B)「スキルアップには転職が必要だとは思わない」と、(A)「チャンスがあれば転職したい」VS(B)「1つの会社で長く働きたい」の2つだ。
その3世代男女ごとの結果を比較したグラフが、【図表2】だ。これを見ると、転職に関する意識は世代間の違いが大きく表れた。若い世代ほど転職に肯定的で、チャンスがあれば転職したい、と前向きに考えていることがわかる。「スキルアップには転職も必要」と「スキルアップのために転職したい」と意欲的なのは男女ともZ世代がトップで、X世代が一番低い。
逆に、「1つの会社で長く働きたい」という、転職を引き留めるブレーキが若い世代になるほど弱まっており、Z世代男性で17.0%、Z世代女性では19.0%しかいない【再び図表2】。
では、Z世代が目指すキャリアプランはどういったものなのか。ここでも相反する傾向の質問項目を闘わせて分析した。(A)「出世したい」VS(B)「出世したいと思わない」と、(A)「経営に携わりたい」VS(B)「経営に携わりたいとは思わない」の2つだ。
その3世代男女ごとの結果を比較したグラフが、【図表3】だ。これを見ると、Z世代男性では「出世したい」「経営に携わりたい」という回答が、「出世したくない」「経営に携わりたいとは思わない」という回答を大きく上回り、他世代より突出して高くなっている点が目立つ。ただし、同じZ世代でも、女性の出世欲、経営者志向はあまり高くなく、ほかの世代の女性とほぼ同じだ。
また、面白いことに、ほかの世代の男性では「出世したい」「経営に携わりたい」という割合が、世代が上がるにつれて少なくなる。男性X世代で「出世したい」という人(28.6%)は、男性Z世代(52.0%)の約半分だ。「若い世代は管理職になりたくない人が多い」といった話をよく耳にするが、この調査では、真逆の結果だ【再び図表3】。
これは社会人歴が上がり、中堅社員になると、「会社の現実」が見えてくるということなのだろうか。あるいは、すでにある程度出世して現状に満足しており、それ以上を望まないということなのだろうか。