「黒田ショック」市場は「サプライズ」と過剰反応! しかし、相場は時間の経過とともに下げた分を修正する?

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「不動の日銀が動き得る」?

   日銀が長期金利の「上限」を0.25%から0.5%に引き上げたことで、長期金利(10年もの国債の利回り)は急上昇した。それにより、円高ドル安が進んだ。日経平均株価は急落だ。

   これは、何を意味するのか――。ドル円相場が円高に進み、円安が是正されれば、物価高もいくらか和らぎ、景気も回復に向かう。一方、金利が上昇すれば、企業はお金を借りにくくなり、設備投資などを鈍らせる。住宅ローン金利の上昇にもつながり、景気を冷やす要因になる。企業活動や消費行動の停滞で、株価が下がる。

   とはいえ、広木氏は「長期金利の上限が0.25%から0.5%に引き上げられたが、それによって日経平均株価が700円近くも急落する理論的根拠はまったくない」と指摘。「そもそも、このタイミングで緩和を縮小に向かわせて、良いことはひとつもない。政府が目指すGX(再生可能なクリーンエネルギーへの転換による経済成長戦略)も、賃上げも、ますます難しくなるだろう」としている。

   さらに、今年のドル円相場が円高方向になった局面では、「日経平均株価はたいてい上昇基調にあり、ドル円相場が130円台前半にあった夏場には株価は高値を追っていた」と説明。このことから、「20日の為替水準が、それほど企業業績に悪影響を与える水準とは思えない」とみている。

   つまり、20日の市場の動きはサプライズによる過剰反応で、「時間の経過とともに下げた分の修正が起こるだろう」と読んでいる。

   塚本憲弘氏も、「今回、景気認識に大きな変化はない」と冷静だ。次のように指摘する。

「緩和スタンス維持に何ら変更はなく、市場機能を重んじた対応として金利の裁量を限定的に変更したものであり、持続的な動きを促すものではないと言えます。市場も水準変更を余儀なくされましたが、更なる動きに警戒というよりは変更後の水準から落ち着きどころを探る展開が予想されます」

   ただ、「金融政策のかじ取りが大きく変わったとは考えませんが、『不動の日銀』も動き得る」ということは今後、念頭に置く必要があるという。

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