【エコノミスト】インドなど新興国の存在感増す
「週刊エコノミスト」(2022年12月27日・2023年1月3日号)の特集は、「世界経済総予測2023」。2023年は世界経済の構造が大きく変化する始まりの年になりそうだ、として巻頭でインドに注目している。
国連の予測によれば、インドが23年、中国を抜いて人口で世界一になるという。インドは27年には日本を抜いてGDP(国内総生産)で世界3位となり、中国に代わり、インドが世界の成長センターに踊り出ると予測している。
成長をけん引する産業の1つがITだ。ITは新しい産業だからカーストの制約はない、と優秀な人材が集まってきたことを原因に挙げている。
インドは消費市場としても大きな注目を集めそうだ。25年には1人当たりGDPが耐久消費財の売れ行きが加速する3000ドルを超え、電力、道路、通信などインフラ整備が進むと期待される。
このほか、ベトナムやバングラデシュ、エジプト、インドネシアなどが5%以上の成長が見込まれ、これら新興国がさらに存在感を増すというのだ。
◆「GAFAM」5社を分析
「GAFAM」5社の優劣を分析した、山本康正・京都大学客員教授の寄稿にも注目した。
世界のIT産業をけん引する米テック企業だが、苦戦のメタ、懸念材料を抱えるグーグルとアップル、堅実なアマゾンとマイクロソフト、と濃淡が分かれてきた、と指摘している。
メタは本業の広告事業の不調に加え、ビジネスの転換先であるメタバース(インターネット上の仮想空間)もうまくいっておらず、株価はこの1年間で半減。このままいけば、ビッグテックから外される可能性があるという。グーグルはTikTokに押されていることやアップルは新発売の「iPhone14」の不調が懸念材料だ。
政治コラム「東奔政走」で、平田崇浩・毎日新聞世論調査室長兼論説委員が「サミット解散か、花道退陣か 岸田首相が迎える勝負の半年」と書いているのも目を引いた。
広島サミット直前の4月、黒田東彦日銀総裁の任期満了と統一地方選という2つの関門が岸田首相を待ち受けている。
円安インフレに苦しむ国民が首相の日銀総裁人事をどう評価するのか、統一地方選で政権に厳しい評価が下れば、サミット花道退陣シナリオが現実味を帯びるという。
2023年は「政治」の年になるかもしれないという予想に、驚いた。(渡辺淳悦)