「今を生きる我々が、自ら責任を背負うべき」岸田首相、増税強硬に新聞社説総スカン! 「選挙で国民に信を問え」「議員こそ特権捨てる痛み背負うべき」

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東京「納税者への背信行為」、毎日「悲惨な戦禍の歴史を無視」

いかにして日本を守るか
いかにして日本を守るか

   「そもそも防衛費拡大に国民的合意が得られていないのに、増税に突き進むことは納税者に対する背信行為だ」と厳しく批判するのは、東京新聞社説(12月16日付)「『軍拡増税』了承 納税者への背信行為だ」である。特に問題にしたのは、復興特別所得税の防衛費への転用だ。

《復興特別税は2013年、東日本大震災の復興を目的とする特別措置法に基づいて創設された。所得の税額に25年間2.1%上乗せするなどして、増収分を復興に活用する仕組みだ。
与党税調は、所得税額の1%分を付加税として防衛費の増額に転用し、課税期間も延長する増税方針を了承した。この手法だと当面、課税額は変わらないが、負担は長期化し、期間延長後の防衛財源分は増税になる。
東北地方を中心に震災で甚大な被害を受けた地域では暮らしが根底から崩れた。福島第一原発事故で帰郷を断念した人々も多い。社会基盤の回復は道半ばであり、復興予算の転用は論外だ。復興特別税の転用は復興を願う納税者や被災地の人々の思いを踏みにじる失策ではないか。》

   東京新聞は「法人税増税も理解に苦しむ」として、こう続ける。

《現行の法人税額に4?4.5%上乗せする付加税方式を採用し、中小企業の大半は対象外という。急激な物価上昇で打撃を受けた暮らしを回復するには、早期の賃上げが必要不可欠だ。
首相は先月(11月)開かれた「新しい資本主義実現会議」で「物価高に負けない対応を労使にお願いする」と明言している。連合は来年の春闘に向けて5%の賃上げ要求方針を決め、経済界からも理解を示す声が出始めていた。
賃上げ機運が生まれたこの時期に、手のひらを返すように企業に増税を求める首相の姿勢は、経営者の心理を一気に冷やし、賃上げの流れを台無しにしかねない。年明けには生活必需品を中心に新たな値上げのピークがくる。賃上げの見通しが立たないまま物価高の大波が再来すれば、人々の暮らしはひとたまりもない。》

   こう指摘して、「首相の決断を許すわけにはいかない」と結んだ。

国会で議論すべきでは(写真は国会議事堂)
国会で議論すべきでは(写真は国会議事堂)

   また、毎日新聞社説(12月18日付)「防衛費増額に建設国債 また一つ歯止めが外れる」が問題視したのは、防衛費増額に国債を使う手法だった。こう断罪した。

《危険なのは、国債で集めた資金を防衛費に直接充てる道を開いたことだ。世論の反発を招きやすい増税より政治的ハードルが低い。艦船や戦闘機など装備にまで使い道を広げようという動きもある。
安倍晋三元首相は「防衛予算は次の世代に祖国を残す」と、装備にも使える「防衛国債」を発行すべきだと唱えていた。自民党には同様の主張をする議員がいる。
だが、国の将来に役立つ政策は教育や科学技術など数多い。防衛だけを強調するのはおかしい。歴代の政権は景気対策などを理由にして国債を大量発行してきた。それでも防衛費に直接充てることを控えてきたのは、第二次世界大戦時の財政運営への反省があったからだ。国債で膨大な戦費を調達し、悲惨な戦禍を引き起こした。》

   そのため、戦後初の国債発行を決めた1966年、当時の福田赳夫蔵相は「軍事費の財源として発行することはない」と明言したのだった。そして、歴代政権もこの見解を守ってきた。

《自民党内の反発は根強く、国債発行を求める圧力が強まりかねない。首相は防衛費増額のための国債発行を「未来の世代への責任として取り得ない」と否定していた。その姿勢を崩してはならない。》
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