注目の住宅ローン金利は? 住宅ローン減税は?
日本ではご存知の通り、円安がある程度進んで消費者物価の上昇が発生していても、政策金利の低利誘導による金融緩和策を継続しています。
これにはもちろん、いくつかの理由があります。ポイントは、下記の通り。
(1)諸外国に比較してGDPギャップ(供給に比べて消費が弱い状況)が続いているため金利を引き上げると、モノがさらに売れなくなって、景気後退の局面に入り、インフレだけが進行する「スタグフレーション」を招きかねない。
(2)日本は、国債残高が1000兆円超と、GDP比では先進国の中で突出して高い水準にあるため、金融引き締めで金利を上げてしまうと、利払いがかさむ。これも、景気後退要因になり得る。
(3)金利を引き上げると、これまで超低利に誘導していた金融政策と正反対の政策となるため、金融市場が混乱し、企業業績の悪化や倒産件数の増加によって、景気を後退させる懸念がある。
(4)金利を引き上げると、連動して住宅ローン金利(特に固定金利)も上昇し、これまで日本経済を支え続けてきた住宅産業に悪影響が及ぶ。
(5)日本ではGDPギャップが大きく、消費が弱いため、金利を引き上げなくてもインフレ率が3%程度に留まっており、金利を引き上げるほどの物価高騰は発生していない。
こういった理由が挙げられます。
もちろん、金融緩和政策自体は、通常の金利政策とは「異次元」と日銀が認めていますから、このような状況を脱して、健全な景気回復軌道に乗せなければならないのですが、当面は(黒田総裁は、数年と言っています)上記の理由などによって、金融緩和策を取らざるを得ない状況が続くものと考えられます。