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【100万円増額計画】2022年、急速に進むドル高円安で「難しい展開だった」FXトレード...大事なのは「敵を知り己を知れば百戦危うからず」!【結果発表!】

   学生のみなさんとともに、およそ半年にわたって挑戦してきた「100万円増額計画 FX大学対抗戦 Season6」の最終結果が出そろった。

   これまでを振り返って、アドバイザー・ゆかてぃんさんから2022年のマーケットの振り返りと講評、そして、参加者のみなさんから寄せられたコメントとともに、当企画を締めくくっていこう。

「日々情報を追いかけ、丁寧に分析して、トレードに臨む姿に...『私も見習わなきゃ』!」(アドバイザー・ゆかてぃん)

   2022年の「100万円増額計画 FX大学対抗戦」では、最大利益が233%以上でした。とくに、最後まで走り切った2大学はプラスで終えられて、大変素晴らしかったです。

・北海道大学

   北海道大学からは前半は不破さん、後半に小松さんがチャレンジされました。お二方ともFXは初心者という中、前半の不破さんがプラス13万円で、小松さんにバトンパス。

   小松さんも不破さんからバトンを受け取って、すぐ20万円の含み損になる場面もありましたが、最終的にトレードと向き合い、見事プラス15万円以上の利益に持って行き、ドラマチックな対抗戦でした。

   お二方とも初心者とのことなので、正直、元本割れになるかなと予想しておりました(失礼しました!)。

   最初は微益微損でトレード回数は多く、少しずつ負ける展開もありましたが、どうしたら勝てるのか、トレードと向き合って試行錯誤していく姿が印象的でした。

   その努力もあり、徐々に改善し一進一退を繰り返し、一時はご本人も「FXの沼」にはまったと言ってたように、勝率が低い状態で損大利小のトレードを繰り返してしまったこともありましたけれど、得意な通貨に絞り元本割れを取り戻し、コツコツと利益を増やしていましたね。

   トレードのルール決めや手法の確立をしていく中で、つい決めたルールを破ってしまったり、無駄なトレードをしてしまったりする状況に陥ってしまう場面ではどうなるかと思いましたが、しっかりとそこの軌道修正をされて、成長速度がとてもはやいと感じました。

・同志社大学

   今回、一番大きく収益を上げたプラス233円以上の利益には、脱帽です!

   ドル円とポンドのトレードが特に好調で、ロットも安定していて、見ていても安心できるトレードでした。さすがトレード経験があるだけあるなと思いました。

   また、得意なファンダメンタルズ分析で、ノルウェークローネ円などといった珍しい通貨ペアの取引も面白かったです。

   そんなトレードが優秀な同志社大も、200万円に到達する直前に2回、23万円の損切りがありました。

   これには辛い思いをされたとは思いますが、そこからはロットをある程度、固定させて堅実なトレードに切り替え、立て直された姿が印象的でした。

    後半はトラスショックのポンドトレードも素晴らしく、日々情報収集を追いかけて、丁寧に分析をしてからトレードをされる姿は「私も見習わなきゃ」と、アドバイスする立場なのに、とても刺激になりました。

   今年はドル円の動きが為替介入などもあり、後半は特に難しい展開で苦戦されている場面もありました。それでも、ご自身の相場観が合わないときはトレードをしない、といった冷静で謙虚な姿勢が大きな利益に導いたのだと思います。

・一橋大学

   取引を途中で終えてしまった一橋大学ですが、得意なファンダメンタルズ分析を行い、新興国通貨の取引でかなり好調でした。

   第一回目からプラス20万円という大きな利益を残し、いきなりトップに躍り出て、大変驚いたことを覚えています。

   最初の方は大きな利益を出していき、途中までは調子が良かったのですが、のちに損切りが遅れたことで、一回のトレードで23万円マイナスを出してしまいます。

   大きなロットでのトレードは、プラスになれば利益も大きいですが、マイナスになると損切りも大きくなります。

   ファンダメンタルズ分析と資金のリスク管理が甘くなってしまっているのが、当時記事を読んでいて感じられ、これには私もかなり心配しました。

   最終的には155万まで増えた資金が、ドル円の今年の上昇トレンドのところにショートで入って、一回のトレードで45万円もマイナスになりました。23万円の損切りもそうですが、約100万円の資金で取るリスクにしてはあまりにも大きすぎる損切りでした。

   途中の記事によると、最初は熱意があって、毎日分析の勉強をしていた反動がきた、とありましたが、おそらく最初は大きく利益を出して大盛り上がりだったのが、その後期待する結果とは大幅に異なった結果となり、戦意喪失につながってしまったのでしょう。いわゆる、麻薬状態になっていたのかもしれません。

   ただ、これは誰でも起こり得るもの。そして、このようなギャンブルに近いようなトレードはやはり、メンタル面で大変傷んでしまうので、FXをされる方はぜひ注意していただきたいものです。

   今回は幸いデモトレードでしたが、ご自身だけでなく、私も、また読者の皆様にとっても、大きな戒めになったのではないかと思います。まだまだ伸び代がありますので、今後の活躍を願っております。

「ストイックなトレードは疲れてしまう。トレードを楽しむ気持ちも大事」(アドバイザー・ゆかてぃん)

   2022年の相場についても、振り返っていきましょう。

◆相場と材料

   2022年今年は、世界的に高インフレが問題となり、主要各国がどんどん利上げ政策を行いました。そんな中で日本は金融政策維持の姿勢を貫き、金利差拡大などの要因でドル高・円安が顕著でかつ、ボラタイルな相場でした。

   今年はじめのドル円のレートが103円前後でしたが、誰が150円台まで上昇すると予測できたでしょうか。

   大きな流れで見れば、一方向に動いた相場と思えば簡単なようですが、各国の金融政策発表や消費者物価指数の発表後には数円上下に動くような相場だったので、苦戦を強いられたかと思います。

◆まとめ

   このFX大学対抗戦では、デモトレードとはいえ人から見られるプレッシャーもある中、参加者のみなさんには半年間大変よく頑張りましたと、まずは賛辞を贈りたいと思います。

   毎回、記事を読むたびに成長も感じられて、葛藤や心境の変化、悔しい思いなどの機微も伝わってきて、ただのトレードの勝ち負けだけではなく、ドラマを見ているかのような読みごたえを感じました。

   FXは単にお金儲けのトレードと思われるかもしれませんが、どれだけ真剣にトレードに向き合い、謙虚な姿勢で取り組めるかも大切です。それは、すなわち、どれだけ自分と向き合えるのかが、長くトレードをするうえで課題になると思っています。

「彼(敵)を知り己を知れば百戦殆(危)うからず」

   これは、春秋戦国時代の孫武(孫子)という人物による、戦いに勝つための兵法書にある書有名な一節。相場に向かう姿勢で、よく私が戒められた言葉です。

   ただ、無理にストイックに向かうと疲れてしまうので、一番重要なのはトレードを楽しむ気持ちです。好きこそ物の上手なれとよく言いますが、この先もみなさんにはトレードを好きでい続けてほしいと思います。

   また、特にFXトレーダーは、株式や仮想通貨のトレーダーと一線を画すほど、経済などに関する知識レベルが高いといわれています。つまり、金融商品としてはレベルの高いものを扱っている、ということです。なので、ぜひFXトレーダーとして誇りをもっていただき、今後のトレーダー人生を楽しんでいただきたいと思います。

   あらためまして、参加者のみなさん、素晴らしいトレードを見せていただき、感謝申し上げます。

   大変おつかれさまでした!

◆◆アドバイザーのプロフィール

ゆかてぃん
ゆかてぃん
兼業スイングトレーダー。2019年からFXをスタート。「コロナ相場」に乗り、最高月利益は3000pips以上。現在ラジオNIKKEIで月に1度出演。CXR投資チャンネルでMCを務める。個人でYouTube活動もしている。
得意な通貨はポンドで、最近は仮想通貨も取引。
ツイッター @fx_yukatin
CXR投資チャンネル https://www.youtube.com/channel/

   つづいて、参加者のみなさんからの振り返りをどうぞ。

はじめたころは130円台で大騒ぎだったのが...

◆「リスクヘッジの重要性を学びました」(北大金融研究会 不破拓人さん)

   お久しぶりです。FX大学対抗戦前半戦でトレードを担当していた不破です。FXトレードは初めてで、最初は右も左も分からないまま、損をしないためにトレードしていました。

   そして慣れ始めたころ、緊張感が抜け、何も考えず、ドル円ロングを注文し、大きく損失を出しました。その後、運良く取り戻すことができましたが、このFX大学対抗戦を経て、リスクヘッジの重要性を学びました。

   僕がトレードし始めたころは、ドル円レートは130円の大台にのり、135円あたりでうろついていました。当時は大分円安が進行したなと感じていましたが、今となっては、135円はむしろ円高と言えるような状況です。このような変動の大きな状況で、他校の方々と競い合いながら仮想トレードができたというのは、とても価値のあるものだったと思います。

   トレードは、自分のお金でやらなければ学べないという人がいます。私も、それは一理あると思います。仮想トレードでは、お金を失う辛さがなく、また欲をかいたトレードもしないからです。しかし、ある程度の期間、競争しながらトレードを行うことで、結果を出すために努力し、経済指標の知識やテクニカル分析の手法など、多くのことを学べました。

   最後に、このFX大学対抗戦を支えてくださった全ての方々に、この場でお礼申し上げます。

不破 拓人(ふわ・ひろと)
不破 拓人(ふわ・ひろと)
北海道大学農学部3年生
FXトレードは初挑戦。今まではファンダメンタルを基礎とした株式投資を行っていました。今回のFX大学対抗戦では、せっかくのデモトレードということで、テクニカル分析にも挑戦したいです。趣味は映画観賞。最近観た映画の中では「ドライブ・マイ・カー」が推し。

◆「冷静に適切な判断を下すことは難しかった」(北大金融研究会 小松柊太さん)

   北大金融研究会の小松です。前半の不破からバトンタッチし、9月から3か月間、FXトレードをやってきました。

   私が最初の記事で上げた方針は(1)取引通貨はドル円のみ(2)取引ごとに根拠を示す(3)感情で取引をしない、の3つ。

   (1)は「選択と集中」ということで一貫して行ってきましたが、(2)と(3)は守り切ることはできませんでした。そもそも初陣でいきなり20万損したときに、すでに守れていなかったのですが...。いったん取引画面に入ると常にレートが変動している中で、冷静に適切な判断を下すことがどれだけ難しいことかを実感した3か月でした。

   最初の頃は夏休み期間だったこともあり、多く時間を掛けて取引に励むことができたのですが、後半になるにつれて、学業や就活との兼ね合いで、そもそも取引に掛けられる時間が少なくなり、ファンダメンタルズを調べずにぶっつけで取引をすることも多くなっていきました。

   簡単に言えば、実際に取引を実行するまでの準備をしなくなっていった、ということです。重要指標、FRB高官の発言、日銀の動向、金利差...。こうしたファンダメンタルズを調べてから、初めてテクニカル分析を使い取引の方針を立てる。そうすることで、心にも余裕が生まれ、感情的な取引も避けられる。初心者だからこそ、こうした基礎をおろそかにしてはいけなかったと思っています。

   また、CPI(消費者物価指数)の発表などで一気に振れるなど、そもそも平日刻一刻とレートが変化している「為替」というものが、とても不思議なものだとあらためて感じました。

   先日、なぜか京都帰りの後輩が数百円をドルに両替していたのですが、そこで初めて1ドル札を見ました。もちろん1ドル札は何も変わらないのですが、為替相場では数秒単位でその価値が変動しています。

   反対に、私たちが普段使っている円の価値も、海外から見れば常に変わっているわけです。この3か月はFXを実際に続けることで、日々変化する「通貨の価値」というものを体感することができた、とてもいい経験でした。

   今後も時間と余剰資金が許す範囲で続けようと思います。

小松 柊太(こまつ・しゅうた)
小松 柊太(こまつ・しゅうた)
北海道大学教育学部3年
北大金融研究会(HFAC)所属。投資は積立投信から始め、半年ほど経つ。FXは試しにかじってみたものの1500円の損失を出し、情報の大切さと難しさを体感。今回、もう少しチャレンジしてみることにした。趣味は旅行、写真など浅く広く。プロフィール写真は今年2月に訪問した納沙布岬。
→北大金融研究会

◆「当初の『総合的に勝てる取引』を成し遂げられた」(同志社大学 岩瀬颯汰さん)

   6月からの怒涛の6か月間が終わりました。

   1人で走り続けた自分に「お疲れさま」とねぎらいの言葉をかけるとともに、僕にFXの技術や知識を伝授してくださった先輩や毎週毎週原稿を編集してくださった編集者の方々には感謝しています。ありがとうございました。

   さて、僕のトレードの話となりますが、当初の「総合的に勝てる取引」の理念は達成できたのではないかと思います。はじめは日をまたぐスイングトレードがメイン、後にデイトレード、スキャルピングと主に3つのトレードスタイルを試してみました。が、個人的には、1時間足を軸としたデイトレードが一番ファンダメンタルズとテクニカル分析の折り合いがつくと感じて、主にこちらのスタイルを貫きました。

   取引ペアも1種類に絞らず、メジャー通貨から始まり、ノルウェークローネのようなマイナー通貨ペアも取引しました。最終的には、米ドル円とポンド円にファンダメンタルズの追いやすさから落ち着きましたが、今後はユーロドルなども本格的に手をだしてみたいと考えています。

   損切りもある程度自分のルールを設ける等、僕のトレードは機械的な部分が多く、面白味にはかけていたかもしれません(笑)。しかしながら、他の参加者の方々の記事も参考にし、自分なりに改善していった結果なので、そこはご容赦いただければ幸いです。

   あらためまして6か月間、ありがとうございました。

岩瀬 颯汰(いわせ・そうた)
岩瀬 颯汰(いわせ・そうた)
同志社大学1年
FXは高校時代から独学で学んできており、このたびは自身の実力を試したく、このFX大学対抗戦に臨んでいます。不束者ですが、よろしくお願いします。

◆(一橋大学 チームMegis)

林檎
チームmagis
林檎
一橋大学経済学部1年
一橋大学投資サークルTOWALYに所属しています。ファンダメンタルズ分析を基に株式投資を行っており、FXはまだ初心者です。モラトリアム実践中! 経験が浅いFXでは試行錯誤が続くことと思いますが、みなさんに成長していく姿をお見せしたいと思っています! よろしくお願いします!!
R
R
東京医科歯科大学 医学部医学科
一橋大学投資サークルTOWALYに所属しています。FXの経験はまだ浅いのですが、この一年を通してさまざまなことを吸収し、成長していきたいと思っています。テクニカル分析に興味があります! 1年間よろしくお願いします!

   みなさん、当企画「100万円増額計画 FX大学対抗戦 Season6」にご協力いただき、ありがとうございました! おつかれさまでした!(会社ウォッチ編集部)

学生投資連合USIC 「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
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