「週休2日に戻すなら、給料50%アップが必要!」
「英国版週休3日制」の「実験」については、参加した従業員や経営者の反応だけでなく、生産性などを分析して、2023年2月に発表される予定ですが、先日、英国に先駆けて米国とアイルランドで実施された実験結果が公表されて、話題を呼んでいます。
They'll never return to 5 days-or only with a huge pay bump
(二度と週休2日には戻らない、もしくは大幅な報酬アップが必要)
米国とアイルランドで実施した「実験」は、約30社、900人が参加する小規模なものでした。それでも公表されたアンケート結果からは、「週休3日制」に対する従業員の受け止め方がひしひしと伝わってきます。
報道によると、参加者のうち97%が「そのまま週休3日制を続けたい」と回答し、週休2日に戻りたいという回答はゼロだったそうです!
さらに、回答者の42%が、週休2日に戻すなら26%から50%の「pay bump」(給料増額)が必要、と回答するなど、週休3日制への強い思いが伝わってきます。
同じく経営側も、「週休3日制」のプラス効果を享受できたようです。「実験」に参加したのは小規模企業が多かったこともあり、人材を引きつけるリクルート効果や、従業員の欠勤が減少するなどの「人材維持」効果があったと報告されています。
経営側も従業員も、双方が満足する「win-win」に思える「週休3日制」ですが、あまりにも満足度が高いだけに、一度足を踏み入れたらもう元には戻れない危険を伴っているように思えます。
「もう二度と週休2日に戻れない」社員が増えるとすると、軽い気持ちでは「実験」に参加できないと、二の足を踏む企業も増えそう。従業員の価値観が変化するなか、企業の覚悟が試されています。
それでは、「今週のニュースな英語」は「four-day work week」(週休3日制)を使った表現をご紹介します。旬なテーマですから、使えるようにしておきましょう。
The pros and cons of a four-day work week
(週休3日制の長所と短所)
※「pros and cons」(長所と短所)も重要ワードです。
Four-day work week may soon be a reality
(週休3日制は、まもなく現実になるかもしれない)
US, Ireland four-day work week pilot was huge success
(米国とアイルランドの週休3日制実験は、大きな成功を収めた)
面白かったのは、インフレに悩む英国企業にとって、「four-day work week」(週休3日制)はインフレ手当や賃金増に代わる従業員対策になる、という見解です。臨時手当や追加賃金を負担するよりも、「週休3日制」を導入する方が双方にとってハッピーだとしたら、世界的インフレを背景に、一気に広がるかもしれません。(井津川倫子)