電力カルテル問題...計1000億円の課徴金命令へ 中国電、来春の電気料金「値上げ」申請中...審査への影響は?

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   大手電力会社が、企業向け電力販売に関し、互いに顧客獲得を制限するカルテルを結んでいたとして摘発され、中部電力など3社と一部子会社が計1000億円の課徴金を命じられる見通しになった。

   従来の供給エリアを越えて競争することで電力料金の水準を引き下げよう、という電力自由化の根幹を揺るがす事件だ。

   折しも、原油・液化天然ガス(LNG)の価格高騰を受けて、電気料金は1年前から2割程度値上がりしているだけに、消費者の反発は避けられない。

  • 公正取引委員会
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主導したとされる関電は課徴金免除?...リーニエンシー制度で

   公正取引委員会は2022年12月1日、中部電力と販売子会社「中部電力ミライズ」(いずれも名古屋市)、中国電力(広島市)、九州電力と販売子会社の「九電みらいエナジー」(いずれも福岡市)の大手3社と2子会社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)に当たる行為があったとして、過去最高となる計1000億円超の課徴金納付を含む処分案を通知した。内訳は、中国電700億円超、中部電と子会社計約275億円、九電約27億円。各社の意見を聞いたうえで、22年度内にも正式に行政処分を出す。

   公取委は21年4~7月に各社を立ち入り検査し、違反行為の有無について調査していた。

   関係者によると、2018年秋以降、中部電・子会社、中国電、九電・子会社の3社・グループは、今回の処分対象になっていない関西電力(大阪市)とそれぞれ個別に、カルテルを結んでいた。

   具体的には、大規模工場やデパートが対象の「特別高圧」電力、中小規模工場やビル向けの「高圧」電力など企業向け電力の販売について、安値競争を避けるため、自由化前のそれぞれの営業エリアを互いに維持し、競争を制限する合意をした――とされる。関電側が各社に対して提案したとみられ、20年10月まで続いたという。

   関電が主導したかたちだが、不正を最初に自主申告したとして、課徴金を免れることになるとみられる。

   関電が利用したのが、課徴金減免(リーニエンシー)制度だ。2006年、欧米にならい導入された。談合やカルテルの多くが「密室」で行われるため、違反行為の情報提供につなげようとの狙いだ。

   違反を自主申告し、減免を申請すれば、自らがその不正に関わっていても、課徴金を減免される。申請順位や調査への協力度合いによって、減免率が変わる。全額免除される見通しの関電は、21年4~7月の立ち入り調査前に違反を自主申告したとみられる。

   関電では元役員らが福井県高浜町の元助役から金品を受領していた問題が2019年に発覚し、八木誠会長、岩根茂樹社長(いずれも当時)ら経営陣が退陣に追い込まれた。そこからの信頼回復を図る過程で、今回のカルテル問題での自主申告につながった、との見方が出ている。

   ただ、カルテルについて、関電は公式のコメントは一切しておらず、課徴金の対象になった3社などから「関電に巻き込まれ」などの不満が渦巻き、市場などでも関電の説明責任を問う声が強い。

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