2023年1~3月のコロナ「第8波」拡大を恐れる観光・飲食業
「もう少し悪化幅は大きいかと予想していたので、マイナス1ポイントの悪化は底堅いという印象だ」。そう指摘しつつも、先行き不安について懸念を示すのは、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生だ。
熊野氏のリポート「業況悪化はマイナス1と小幅~短観では米利上げのマイナス効果はまだ見えない~」のなかで、特に大企業・製造業が先行きについて大幅の悪化【図表】を予想したことについてこう説明する。
「今回の短観で最も際立った変化は、大企業・非製造業の業況判断DI判断の先行きである。最近は前回比プラス5ポイントと大幅な改善になった後、先行きがマイナス8ポイントと悪化を見 込んでいる。こうした変化はコロナ禍の当初2020年3月で起こって以来のかなり珍しい見方である。
足元の改善は、宿泊・飲食サービスの前回比プラス28ポイント、対個人サービスの同プラス18ポイントが大きい。しかし、先行きはともに改善幅が以前に戻る。つまり、12月時点の業況改善はごく一時的だとみているのだ。
これは、(2023年)1~3月にかけて、第8波の感染拡大を強く警戒していることの反映だ。(観光庁が延長を発表した)10月11日~12月27日までの全国旅行支援の効果も、剥落すると見ているのだろう」
政府は、ウィズ・コロナの方針を堅持しているが、過去に打撃をこうむった観光・宿泊・飲食サービス業を中心に、第8波拡大を恐れて慎重姿勢を抱き続けているわけだ。