欧米を中心とした世界経済の悪化が見込まれている?
こうしたデータをエコノミストはどう読み解いているのだろうか。
ヤフーニューのコメント欄では、三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部 主席研究員の小林真一郎氏が、
「今回の結果は、『不安を抱えながらも、国内景気は緩やかに持ち直している』ことを示す内容といえます。大企業の業況判断DIは、製造業で4四半期連続悪化する一方、非製造業で3四半期連続改善し、格差がさらに拡大しましたが、これは景気を左右する要因が、コロナの感染状況から他の要因に完全に移ったことを示すものと考えられます」
と指摘した。そのうえで、「先行き不安」については、
「業種別では、コロナ禍からの脱却の動きを背景に、対面型サービスを中心に幅広い業種で改善の動きが広がりました。最も大きく改善したのは宿泊・飲食サービスで、全国旅行支援実施やインバウンド需要の回復などが反映されたものと判断されます。 先行きについては、大企業製造業で1ポイント低下、大企業非製造業で8ポイント低下といずれも悪化が見込まれています。製造業では世界経済の悪化への警戒感が、非製造業では物価高や人手不足への警戒感が根強いためと考えられ、不安を残した状態での年越しとなりそうです」
と説明した。
同欄では、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏も、楽観できないとの見方だ。
「ヘッドラインだけで見ると、当初の想定ほど悪くないという見方もできるかもしれません。しかし、経常利益計画を見ると、特に輸出関連産業の多い製造業において今年度下期で大幅下方修正の減益計画となっています。
やはり背景には、エネルギー価格の高騰や急速な金融引き締めの継続などにより、欧米を中心とした世界経済の悪化が見込まれているものと推察されます。このため、特に製造業に関しては決して楽観視できる結果とはいえないでしょう」