G7で日本の成長率がトップとIMFが予想
「週刊エコノミスト」(2022年12月20日号)の特集は、「日本経済総予測2023」。2023年の日本経済は、訪日外国人観光客の復活やDX投資などを背景に底堅い動きをたどりそうだ、と予測している。
冒頭で意外なデータを紹介している。主要7カ国(G7)で2023年の成長率がトップになるのは日本、と国際通貨基金(IMF)が10月、「世界経済見通し」の中で発表したというのだ。
日本1.6%、カナダ1.5%、米国1.0%、フランス0.7%...となっており、日本がG7トップになるのは、1989年以来34年ぶりの快挙だという。欧米主要国が軒並み落ち込む中で、底堅さが際立つ。
主要調査会社と金融機関に対するアンケートでも、平均すると1.3%となっている。サービス消費やインバウンド復活が好材料だ。
「2023年中に起きる可能性が高いこと」として、「電車やオフィスでマスクを着用しない人がする人を上回る」「日経平均が3万円を上回る」「岸田首相が辞任する」ことを挙げる回答が多かったことにも注目した。
個人消費について、第一生命経済研究所首席エコノミストの永浜利広氏は、コロナショックから正常化へと進み、「教養娯楽」「交通・通信」などの消費支出が増加すると期待している。
◆明るさの中に暗さが混じる「まだら模様」の年
物価と賃金はどうか。日本総合研究所副理事長の山田久氏は、「2023年の名目賃金は上がりそうだが、物価上昇には見合わないものになりそうだ」と見ている。
「電気料金は補助金がなければ過去最高になりそうだ」とは、日本エネルギー経済研究所主任研究員の江藤諒氏の予測。一般家庭向けの「電灯総合単価」は、燃料費調整制度の上限撤廃により、前年度比9.0%上昇の1キロワット時34.1円と過去最高となる見込みだ。
企業倒産は、「コロナ融資」の効果が消え、2023年春から急増しそうだ。帝国データバンク情報統括部情報取材課長の内藤修氏は、コロナ融資を借り入れている約6000社のうち、1割超の企業が「返済が難しい・返済できない」と回答しており、中小企業の過剰債務問題を注視している。
業種別では「建設」「食品」「トラック(運輸)」「サービス」といったセクターだ。22年の「後継者難倒産」は、10月時点で、年間最多ベースで推移している。長引くコロナ禍で、事業をたたむ「あきらめ型」の倒産・廃業が相次ぐ恐れがある、と指摘している。
2023年の日本経済は、明るさの中に暗さが混じる「まだら模様」の年になりそうだ。(渡辺淳悦)