厳しい寒さ、節電の冬...秋冬物衣料には追い風 ユニクロ、タートルネックに「小池都知事」効果!?

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   師走の声を聞いたとたん、急に寒波が押し寄せて、寒さ厳しい冬がやってきた。

   すでに、ロシアのウクライナ侵攻で、資源や食料価格の高騰が直撃。急激な物価高に見舞われている。なかでも電力不足は深刻で、2022年12月1日からは政府の節電要請が始まった。

   寒い冬を暖かく過ごそうと、重ね着する人は少なくないだろう。そんななか、売り上げを伸ばしているのが、ウールやカシミア、ニットのセーターや防寒素材を用いた肌着などの秋冬物の衣料だ。

  • 厳寒の今冬、秋冬物衣料に追い風か(写真はイメージ)
    厳寒の今冬、秋冬物衣料に追い風か(写真はイメージ)
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ユニクロ、今冬は「着せる極暖」を展開

   冬物衣料の素材として定着したユニクロの機能性インナー「ヒートテック」。2022年秋冬のラインアップは、2022年10月15日に発表された。

   「極暖」は、これ1枚で様になる「見せる極暖」として展開中だ。女性用の「ヒートテックシームレスリブ(極暖)」は、柔らかくストレッチ性のある素材がボディーにフィットする、新しい着心地のヒートテックで、タートルネックとクルーネックの2種類を用意した。

   男性用の「ヒートテックコットンワッフルクルーネックT(極暖)」は、コットンを100%使用。より柔らかく、かつインナーにもレイヤード(重ね着)アイテムにも使えるという。

   定番の「ヒートテックインナー」では、女性用はハイゲージ(目の細かい糸を密に編み込むスタイル)化した、きれいな編み地で高級感のある素材に仕上げた。

   男性用の「ヒートテックウルトラウォーム(超極暖)」は、とてもよく伸びる素材を採用。暖かさはそのままに、よりカジュアルな軽い着心地に仕上げた。特長として、汗などのにおいを消臭する機能を追加した。

   そのほか、ヒートテックの中綿を使った、保温性抜群なジャケットも発売した。

   こうした新アイテムの投入は奏功している。そのうえ、10月は前半に気温が低下したことで、秋冬商品が好調だった。

   ユニクロの10月の国内売上高(既存店+Eコマース販売)は前年比12.8%増と大きく伸びた(親会社のファーストリテイリングが11月2日に発表)。客数は1.4%増、客単価も11.3%増えた。

   ただ、11月の売上高(同)は前年比3.8%減。客数(9.7%減)も減ったが、客単価は6.5%増えた。背景には、月を通して気温が高く推移したことで、防寒衣料の需要が伸び悩んだこと。それに加え、昨年あったコラボ商品が今年はなかったため、売上高が減った要因としている。

   12月に入って寒さがいっそう厳しくなるなか、ファーストリテイリングは「気温が下がってきたことで、『見せる極暖』(ヒートテック)やダウン素材のアイテムを中心に好調な動きをみせています」(広報部)と話す。

   また、電力のひっ迫が懸念されるなか、東京都が「ウォームビズ」として職場でのタートルネックの着用を呼びかけたこともあってか、「タートルネックは近年で一番の売れ行きです」(同)と絶好調。さらなる伸びを期待する。

しまむら、あったか素材「FIBER HEAT」肌着も好調

   ファッションセンターしまむらの11月の売上高は、前年比1.7%増と好調を維持した。客数は2.5%減ったが、客単価は4.1%増えている。

   グループ全体で打ち出した「大創業祭」が好評だったことで、売れ筋の婦人のセーターやカーディガン、スカートなどの冬物が売り上げを伸ばしたほか、前月に続き、プライベート・ブランド「CLOSSHI」のあったか素材「FIBER HEAT」の肌着が好調だった。

   真冬への「備え」を進めるとともに、12月はクリスマスや忘年会などのイベントでお出かけ需要が売り上げを後押し。引き続き、期待できそうだ。

   百貨店の衣料も好調だ。

   日本百貨店協会が11月24日発表した10月の全国百貨店売上高によると、10月の衣料品の売上高は前年比12.1%増の1307億2738万円。内訳は紳士服・洋品が前年比12.2%増の282億7804万円、婦人服・洋品が14.7%増の876億6316万円と、2ケタの伸び。

   子供服・洋品は0.6%増の73億2305万円。その他衣料品は3.4%減の74億6312万円だった(前年比はいずれも店舗数調整後)。

   紳士・婦人服ともにコートやジャケットなどのアウターが好調だったほか、冠婚葬祭ニーズでフォーマルにも動きが見られた。

「寒さは商機」この冬、平年より寒いかも...

   また、日本チェーンストア協会が11月24日に発表した全国スーパーの10月の衣料品売上高は、前年比8.9%増の666億2041万円だった。

   こちらの内訳は、紳士衣料が10.4%増の117億6424万円の2ケタの伸び。婦人衣料が9.3%増の167億9200万円、その他の衣料・洋品は8.2%増の380億6417万円だった(前年比はいずれも店舗数調整後)。

   紳士衣料はスーツ、フォーマル、ジャケット、スラックス、長袖ドレスシャツ、ニットベストなどの動きが良く、婦人衣料はコートやスーツ、フォーマル、パンツ、セーターやカーディガンなどの動きが良かった。その他衣料・洋品は、紳士・婦人のインナーや婦人靴下などが好調だった。

   衣料小売りにとって、「寒さは商機」だ。

   気象庁の11月からの3か月予報によると、この冬、日本付近ではラニーニャ現象の影響で上空の偏西風が南に蛇行する見通し。東日本や西日本を中心に西高東低の冬型の気圧配置が強まって、寒気の影響を受けやすい。

   ちなみに、1月の平均が気温は東日本で「ほぼ平年並み」、西日本は「平年並みか低い」というが、平年よりも寒さが強まる可能性があるという。

   衣料が好調な背景は、こうした気温の低下のほか、今冬は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限制が緩和されたことで、冬物衣料を新調して外出する人が増える傾向にあるからだ。また、ピーク時には及ばないものの、訪日外国人の買い物需要が見込めそうなことも挙げられる。(J-CASTニュース会社ウォッチ編集部)

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