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忘年会シーズン、年末のアルバイト市場が活性化...スポットワーカー採用、企業の約4割「意欲」!

   いよいよ2022年も残り少なくなり、クリスマス会や忘年会のイベントで、街が慌ただしくなってきた。

   そんな書き入れ時の「備え」に、アルバイトの企業の求人ニーズ、個人の求職ニーズがともに前年と比べて増加している。

   なかでも、「即戦力の人材獲得」や「人件費の削減」を理由に、短時間に単発で働く「スポットワーカー」の採用意向がある企業は約4割にのぼったことがわかった。

   マイナビ(東京都千代田区)のキャリアリサーチLabが、全国の企業、個人それぞれを対象に実施した「非正規雇用市場における採用・求職動向レポート(2022年9~10月)」を、12月6日に発表した。

  • 非正規雇用市場の動向は?(写真はイメージ)
    非正規雇用市場の動向は?(写真はイメージ)
  • 非正規雇用市場の動向は?(写真はイメージ)

「飲食・フード」は59円もの差...募集時給が求人者の希望に届かない

   コロナ禍の行動制限が緩和された、この年末に向けてアルバイト市場が活発化することが予想されるが、調査からは職種によって求人・求職のニーズがうまくマッチせず、人員の確保に苦戦するであろう職種が見て取れる結果となった。

   2022年9~10月期に、企業の求人ニーズ(次月以降にアルバイトの採用活動の予定がある企業の割合)は23.0%で、前年同期と比べて2.5ポイント増だった。

   また、個人の求職ニーズ(「次月以降の新しいアルバイトをすでに探している求職者」+「探すことを検討中の求職者」の合計)は18.4%で、同0.7ポイント増えた。年末に向け、アルバイトの採用、求職の活動が活発化する様子がうかがえる。

   企業の求人ニーズが高い職種は、「オフィスワーク」が26.7%で最も高く、次いで「工場・倉庫・建築・土木」が22.3%。一方で個人の求職ニーズの高い職種をみると、「オフィスワーク」が20.4%で最も高く、次いで「販売・接客・サービス」が17.2%となった。【図1参照】

   企業の求人ニーズと個人の求職ニーズの乖離が最も大きかった職種は、「工場・倉庫・建築・土木」で16.3ポイントの差。次に、「医療・介護・保育」が14.9ポイント差で、どちらも求人ニーズが求職ニーズを上回った。【図2参照】

   2022年9~10月にアルバイトの仕事を探した人が希望する時給の下限は平均で1091円、その一方で企業がアルバイトを募集する際の時給は平均1082円で、求職者の時給ニーズを9円ほど満たしていなかった。

   これを職種別で比べると、企業の募集時給より個人が希望する下限時給が高いのは「飲食・フード」でプラス59円、次いで「オフィスワーク」でプラス6円だった。

   マイナビは、飲食業界では人材確保が難しい状況が続いているが、アルバイトの求職者が希望する下限時給に満たない募集時給となっていることが一因と考えられる、としている。

【図1】企業の次月以降の求人ニーズと個人の次月以降の求職ニーズ/【図2】職種別にみた次月以降のアルバイトの求人ニーズと求職ニーズ
【図1】企業の次月以降の求人ニーズと個人の次月以降の求職ニーズ/【図2】職種別にみた次月以降のアルバイトの求人ニーズと求職ニーズ

スポットワーカーの「即戦力」としてのスキルに期待

   スポットワーカーとは、ネットで単発の仕事を請け負う料理宅配員など「ギグワーカー」の多くが業務委託なのに対して、受け入れ企業との間に雇用関係がある点が特徴とされる。

   現在、スポットワーカーを「採用したことがあり、現在もしている」と答えた企業は16.9%。業種別では「ソフトウェア・通信」で28.8%と最も高く、次いで「飲食・宿泊」で23.8%となった。「インフラ」の22.2%、「小売り」20.8%、「建設」19.3%と続いた。

   また今後、採用意向がある企業は38.2%で、業種別でみると、[ソフトウェア・通信]が44.2%で最も高く、次いで[飲食・宿泊]で42.9%と、現在の採用率が高い業種で今後の採用意向も高くなった。

   スポットワーカーを採用したい理由をみると、「即戦力人材獲得のため」が37.4%で最も高く、次いで「人件費の削減のため」が34.2%、「突発的な欠員に対応するため」が29.5%となった。

   業務の繁閑差対応や急な勤務シフトの変更などによる人手不足を補いたい企業は、スポットワーカーに即戦力としてのスキルを期待している様子が見受けられる。その半面、「長期のアルバイトが採用できないため」(28.7%)や、「派遣社員が採用できないため」(14.8%)といった人材確保への悩みも垣間見られる。【図3参照】

【図3】今後、スポットワーカーの採用をしたい理由(複数回答)
【図3】今後、スポットワーカーの採用をしたい理由(複数回答)

   なお、調査は、企業については、従業員数10人以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員で、自社の非正規雇用労働者の採用方針について把握しており、直近2か月以内に採用活動を行った、または新規採用を行った担当者を対象に、2022年11月1日~2日に実施。

   また、個人は全国の15~69歳の男女(中学生を除く)のうち、直近2か月以内に非正規雇用の仕事を探した人を対象に、11月1日~7日に実施した。

   有効回答数は、企業が959人。個人は1646人。