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「年収2000万円でも、出世しないとダメ?」妻の冷淡さ嘆く夫の投稿が賛否!「出世に汲々の人よりステキ」「カネではなく人間力の問題」...専門家に聞いた(3)

   会社では出世街道から外れた「万年平社員」の50代のエンジニア男性。しかし、副業の不動産投資で才能を発揮、年収2000万円は稼ぐ。定年後も年収1000万円は楽勝だ。

   ところが、最愛の妻からは「出世しない人なんて」と相手にされず、「切ない日々を送っている」という嘆きの投稿が炎上気味だ。

   「2000万円も稼ぐなんて、出世に汲々としている人よりステキです」「いや、奥さんの気持ちもわかる。カネの問題ではなく、人間の器量の問題」と賛否の論争が起きている。専門家に聞いた。

  • 悩むエンジニア(写真はイメージ)
    悩むエンジニア(写真はイメージ)
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奥さんは、役員に上り詰めた自分の父親に重ね合わせている?

   <「年収2000万円でも、出世しないとダメ?」妻の冷淡さ嘆く夫の投稿が賛否!「出世に汲々の人よりステキ」「カネではなく人間力の問題」...専門家に聞いた(1)>および<「年収2000万円でも、出世しないとダメ?」妻の冷淡さ嘆く夫の投稿が賛否!「出世に汲々の人よりステキ」「カネではなく人間力の問題」...専門家に聞いた(2)>の続きです。

――ちなみに、「色男、カネと力(ちから)はなかりけり」(編集部注:女性が憧れるカッコいい男に限ってお金も力もないという川柳)というやっかみも男性からありました。

川上敬太郎さん「ベンチャー企業のイケメン社長など、世の中にはカネも力もある色男もいます(笑)。ただ、一般的に多くの人は、自分が持っているものは見ずに、自分にないものばかり見て欲しがる傾向にあるのかもしれませんね。そのことを愚かだという人もいるでしょうが、それはそれで、人間らしさでもあるように思います」

――ところで、妻がそれほど出世を望むなら「不動産投資会社」を起業して、「社長さん」になったらどうか、という提案さえありました。多くの回答者が、出世しない夫を「認めない」妻に対して批判的なようです。

川上敬太郎さん「もし本当に『肩書き』の問題だけなのであれば、起業することは現実的な解決策の1つだと思います。
投稿内容を拝読する限り、奥様は投稿者さんと自分の父親とを重ね合わせて比較しているファザコンだと言われてしまうのも致し方ないように感じます。ただ、これに関して、妻の本音がどこにあるのかは、投稿内容からだけで判断することは難しそうです。
ひょっとすると、決して出世しないことで投稿者さんを責めているのではなく、妻の目には投稿者さんが本来の力を発揮できていないと映っていて、そのことをもどかしいと思っているだけかもしれません。あるいは、まったく別の理由がある可能性もあります。投稿者さんは、一度、妻の本音を聞いてみるといいのかなと思います」

スヌーピーのように「持っているカードで勝負しよう」

妻が何を思っているのか、しっかり聞こう(写真はイメージ)
妻が何を思っているのか、しっかり聞こう(写真はイメージ)

――たしかに、そのとおりですね。実は、妻に共感する意見もけっこう多いのです。「収入があるといっても、不動産投資はいわば不労所得。会社でバリバリ働いてみんなに認められる夫であってほしい」と願う妻の価値観も理解できるといった意見です。

川上敬太郎さん「奥様には奥様の思いがあるはずです。いろんな可能性が考えられるだけに、奥様が投稿者さんを認めてくれない理由を特定しなければ、何が有効な対処策となるのかは見えてきません」

――川上さんなら、ズバリ、投稿者にどうアドバイスをしますか。どうすれば、奥さんに認めてもらえるでしょうか?

川上敬太郎さん「投稿者さんが出されているスヌーピーのカードの例のように、ご自身が持っていないカードではなく、持っているカードに目を向けられると、見える世界が変わってくることもあるかもしれません。
投稿者さんはすでにたくさんのものをお持ちなので、今後選択できるカードの組み合わせパターンもたくさんあるのではないでしょうか。現状のすべてを否定してしまわず、ご自身の価値観を大切にされながら、奥様からも認めてもらえるような両立できる選択肢は何かを考えてみていただきたいと思います。それらの選択肢の一つとして、起業も入ってくるかもしれません」

「奥さんは奥さんの言い分がある。まずそれを知ること」

夫婦の絆とはなにか(写真はイメージ)
夫婦の絆とはなにか(写真はイメージ)

――なるほど。手持ちのカードで、ポーカーのように奥さんが降参するような強い役を作ればよいわけですね。

川上敬太郎さん「ただ、いずれにせよ、一度きっちりと奥様と向き合い、奥様が本当に望んでいるものは何かを確認することが先だと思います。もし、問題を取り違えているとしたら、誤った施策を打ってしまうことになる。すると、かえって状況を悪化させてしまう可能性もありえます。『奥様が望んでいること=ゴール』がハッキリ見えれば、そのゴールテープを切るために何をすればよいのか、より適切かつ具体的に考えられるのではないでしょうか」

―― 一方で、ズバリ、奥さんにはどうアドバイスをしますか。

川上敬太郎さん「きっと、奥様には奥様の言い分があるのではないでしょうか。改めて何を望んでいるのか、投稿者さんに伝えてあげていただきたいと思います。投稿者さんは奥様から認められていないことに悩み、『一番認められたい相手に認めてもらえないのは切ない』とまでおっしゃっています。投稿者さんの悩みを解決できるのは奥様だけです。
また、投稿内容に書かれている通りであれば、奥様はお金の心配もなく、好きなこともさせてもらっている状況のようです。そのことに感謝する気持ちをお持ちであれば、率直な気持ちを伝えるだけで投稿者さんとしては救われる面があるかもしれません。
逆に、あまり感謝の気持ちはなく、もし奥様が出世しない投稿者さんを軽んじるように見ているだけなのだとしたら、気になるのはお子様たちへの影響です。言葉には出さなかったとしても、雰囲気はお子さんたちにも伝わってしまうものです」

最愛の妻子、高収入、大手企業...ないものより、あるものに目を向けよう

幸せをつかもう(写真はイメージ)
幸せをつかもう(写真はイメージ)

――たしかに、子どもたちへの影響が心配ですね。

川上敬太郎さん「投稿者さんは投稿者さんらしく自らの道を進まれているようにお見受けします。そのことへの賛否はあったとしても、夫婦が互いに軽んじるような気持ちを持つと、お子さんたちも同様の感情をご両親に抱いてしまうかもしれません。お子さんたちには、ご夫婦が互いに尊重し合う姿をぜひ、見せてあげていただきたいと願います。
投稿者さんご自身は、奥様から認めてもらえないことを真剣に悩まれていると思います。ただ、(大変失礼ながら)一歩引いた立場から拝見すると、それだけ奥様を愛されている証拠にも思え、微笑ましくも見えてしまいます。妻から認めてもらうことを夫が目標にしているご夫婦の関係、素敵です。
投稿者さんは、すでに人が羨むようなたくさんのものをお持ちだと思います。学歴しかり、大手企業の職場しかり、高収入しかり。そして何より、最愛の妻とお子さんたちがいます。 たった1つの『ないもの』にとらわれるより、たくさん『あるもの』に囲まれているほうに軸足を置かれると、妻から認めてもらうという目標は辛い状況から脱却するためではなく、いま以上のさらなる幸せに到達するために残された最終目標となるのだと思います」

(福田和郎)