「年収2000万円でも、出世しないとダメ?」妻の冷淡さ嘆く夫の投稿が賛否!「出世に汲々の人よりステキ」「カネではなく人間力の問題」...専門家に聞いた(1)

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   会社では出世街道から外れた「万年平社員」の50代のエンジニア男性。しかし、副業の不動産投資で才能を発揮、年収2000万円は稼ぐ。定年後も年収1000万円は楽勝だ。

   ところが、最愛の妻からは「出世しない人なんて」と相手にされず、「切ない日々を送っている」という嘆きの投稿が炎上気味だ。

   「2000万円も稼ぐなんて、出世に汲々としている人よりステキです」「いや、奥さんの気持ちもわかる。カネの問題ではなく、人間の器量の問題」と賛否の論争が起きている。専門家に聞いた。

  • 悩むエンジニア(写真はイメージ)
    悩むエンジニア(写真はイメージ)
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「配られたカードで勝負するしかない」がモットー

   話題になっている投稿は、女性向けサイト「発言小町」(2022年11月13日付)に載った「夫に収入が十分あっても夫が出世しないのは嫌ですか?」というタイトルの投稿だ。

   カキコミによると、投稿者は50代前半男性。妻と子ども2人がいて、大企業で技術系エンジニアとして勤務しているらしい。投稿はこんな内容だ。

「私はランク的に上位の国立理系を出ていますが、仕事力が高くなく、また出世への意欲も高いとはいえず、結果的に全く出世していません(転職組の万年平社員)」

   ただし、金銭的にはまったく困っていない。投稿者の両親の資金援助のため、家のローンがないからだ。また、副業も順調だ。

「結婚後に始めた不動産投資もあと1年ほどで区切りを迎え、税引き後の月々に使える額が90万円程度になります。(中略)会社員としては平の私ですが、不動産の才能は他の方よりありました。これからもサボらず不動産投資と管理を続ければ、60歳を超えるころに年収2000万円程度。60歳以降で給与所得がゼロでも年収1000万円の生活(子ども独立後)は十分キープできると思います」
年収2000万円あっても不満?(写真はイメージ)
年収2000万円あっても不満?(写真はイメージ)

   問題は、妻がこんな投稿者の生き方に「冷淡」なことだった。

「義理の父は出世競争に勝ち残ったヒトで、大企業で取締役寸前までいきました。人間的にも素晴らしい義理の父です。私は出世する義理の父を見て育った妻からは、イマイチ稼いでくる力を認められておらず、一番認められたい相手に認めてもらえないのは切ないです。
妻は私の所有する店舗を無料で借りて好きな商売をしています(納税ゼロレベル)。自分のことをもっと認めてほしいと思っても、相手を変えられるわけもなく、打つ手なしとあきらめています」

   投稿者には人生のモットーがあった。

「妻に対する想いは切り離して他の生活をより充実させていくことが、最善でないにせよ賢い選択かと。宮沢賢治の雨ニモマケズの心境、最後の行のように『サウイフモノニワタシハナリタイ』になれなくても、少しでもサウナリタイです」

   もう1つのモットーは、米国の人気漫画『ピーナッツ』に登場するスヌーピーの言葉だった。

「You play with the cards you're dealt......whatever that means.」(配られたカードで勝負するしかない、どんな意味であれ)

   自分には「出世」というカードが配られていない。それゆえ、妻には認められていないが、投資能力といった「勝てるカード」を配られていることを素直に喜び、そこで勝負していくしかない、と訴えるのだった。

「一緒に働いている人たちが良い人ばかりだと、嬉しそうに話す夫が好き」

夫には偉くなってバリバリ活躍してほしい(写真はイメージ)
夫には偉くなってバリバリ活躍してほしい(写真はイメージ)

   この投稿には、「出世のために汲々としている人よりカッコいい」「十分稼いでいますから自信も持って大丈夫」という共感のエールが多かった。

「全く問題ありません。(アラフォーの私も)私主導で、夫婦2人で自己資金を出して不動産投資をしています。会社員仕事も好きだし、給与所得もありがたいから会社員をしていますが、面倒な管理職はしたくないので万年平社員でいいです。仮にですが、夫に借入なしで1000万円ぐらいキャッシュフローがあれば、会社員を辞めたければ辞めてもいいです。私が会社員しますから」
「サラリーマンとしてではなく、不動産投資家として。しかも家にこもり切りではなくちゃんと社会で活動もしている。立派だと思います。これまでは会社一本で滅私奉公、その結果の肩書きがものを言う時代でしたが、今や企業も副業を認めて価値観も多様化する時代です。あなたは時代を先取りしたと思って、もっと自信を持ってください」
「(私にも)大企業で出世した父がいます。父は出世すればするほど働き方が苛烈になっていったので、夫に出世なんか望みません。一緒に働いている人たちが良い人ばかりだと、嬉しそうに話す夫が好きです」
「(不動産会社に勤めているが)不動産収入と言うと不労所得のように受け取る人もいますが、個人で不動産運用して確実に収入を得るのは並大抵ではなく、土地建物の知識、修繕のマネジメント、資金や借主との契約管理などさまざまな知識と経験が必要です。その点であなたは立派な事業主です。もっと自信を持って胸を張ってください」

投資能力を生かして起業し、「社長」になって奥さんを見返しては

出世して社内の人々から尊敬される夫になってほしい(写真はイメージ)
出世して社内の人々から尊敬される夫になってほしい(写真はイメージ)

   ほかにも、さまざまな角度からエールを送る人も。

「うちの母は鈍臭くて仕事の能力のない人でした。(中略)それが、50歳を過ぎてから新聞の集金の仕事を始め、月3万円ほどの収入を元手に株を始めたら、あれよ、あれよという間に30年近く経った今、資産が3000万円程になりました。今では、年間、私のパート代1年分以上の配当金があります。80歳になりましたが、でっかい虫メガネで毎日株の値動きを見ています」
「既婚女性です。今のご時世、出世=収入アップにはならない会社もありますよね。残業代が出なくなったり、諸手当がない分、出世してみたら手取りが減ったり。なので、私は、肩書きは別に求めません。むしろ肩書きだけがどんどん独り歩きして、こんなに偉いんだぞと、ふんぞり返っているような人のほうが嫌です。(中略)才能の方向性がご就業されている会社のお仕事とは違っただけの事。ぜひ胸を張って堂々とされてください」

   いっそ、投資能力を生かして起業し、「社長」になって奥さんを見返してはいかが、という意見も寄せられた。

「それだけ利益を出しているなら、不動産投資を法人化すればあっという間に『社長』ですよ。小さくても一国一城の主です。私の夫も投稿者さんぽい感じです。技術職の職人タイプで、腕はいいけど社内政治はからきしダメ。私の父が大企業の役員だったのも同じです。私は夫に会社での出世は望んでいませんでした。
ただでさえ激務なのにこれ以上ストレスを増やすこともないと思って。なので、私は夫に独立を勧め、今は小さな会社を夫婦で経営しています。なかなか上手くいっていますよ。(中略)私の父も『娘婿は社長』と友人に自慢していましたので、夫の自尊心も満たされているみたいです」

「色男、金と力はなかりけり」...稼ぐだけではダメ、地位や名誉も必要なのか?

投資の「能力」に自信はあるが...(写真はイメージ)
投資の「能力」に自信はあるが...(写真はイメージ)

   この投稿をきっかけに、「出世だけが人生ではない」「いや、肩書は能力の反映だ」と、出世をめぐり「人生論」を説く論争にまで広がっている。

「出世がしたければ出世すればいいし、したくなければ、適度に仕事をすればいいと思います。昔、独身の頃に大企業と言われるメーカーに勤めていました。東大出身の管理職の中、1人だけ高卒の課長がいて、それはちょっと格好いいなと思っていましたね。
次の会社は面白い会社で、小さな町工場から世界的な企業に躍進した会社でした。社員も色んなカラーの人が多かった。転職組も多く、中には退職後に日本有数の私立大の教授に請われた平社員もいました。(中略)その会社では敢えて管理職は望まず、ずっと平社員のまま好きな業務についていたいという方を沢山見ました。色んな考え方があってよいのでは?と思いますよ」
「色男、金と力はなかりけり...。稼ぐだけでは不十分、地位や名誉があり、他者から尊敬されることも大事です。ボクの場合は、『ハンサム』な容姿に恵まれたものの、収入や地位に恵まれず残念です」

「不動産投資でいくら儲けようが関係ない。それはそれ、あれはあれ」の声

妻は役員まで上り詰めた父親を尊敬(写真はイメージ)
妻は役員まで上り詰めた父親を尊敬(写真はイメージ)

   一方で、「夫の出世を望む奥さんの気持ちもわかる」という妻への同情も、けっこう多かった。

「奥様のお父様は大企業の取締役寸前でしょ? 年収も多かっただろうし、お歳暮お中元もバンバン来ただろうし、豪邸で豊かな生活していたのではないですか? それに引き換え、と奥様の立場なら思いますよ。
不動産投資でいくら儲けようが関係ないのだと思います。それはそれ、あれはあれ、なんですよ。(自身の夫も投稿者と似たような学歴で)定年間近ですが、平社員のままです。貯蓄能力はあり、金融資産を増やすのは得意のようです。
私の場合はですが、働いていた時は女性の中で一番早い出世記録を更新し、20代で役職をもらっていたので、いつまでも出世しない夫を歯がゆく思っていました。年収も頭打ちで結婚後はどんどん減っていきました」
「人の自尊心や幸福感がカネだけではないことは、あなた自身が不動産賃収で十分な暮らしができているにもかかわらず『妻から認められること』に大きな価値を見出していることからもわかるのではないですか。
同じように妻は夫に『困らないだけの収入を得ること』だけではなく、『きちんとした会社で相応に出世して認められること』を価値として求めているのだと思います。不動産経営にももちろん才覚は必要でしょうし、いろいろと苦労もあるとは思いますが、世間的にはそれはいわゆる『不労所得』に過ぎず、自分の力で勝ち得たものとして尊敬を得ることはなかなか難しいでしょう」
「正直、夫の仕事なんて何しているかよくわからないから、給与が毎月ちゃんと振り込まれていたらどうでもいいです。でも、何やっているかわからないから役職で実感したいという人はいるかもね」
出世は自信を生んでくれる(写真はイメージ)
出世は自信を生んでくれる(写真はイメージ)

   J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、年収2000万円稼いでも出世しないと妻から相手にされないと嘆く夫の投稿をめぐる論争について、働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。

――今回の50代男性の投稿と、回答者たちの多くの意見を読んで、率直にどのような感想を持ちましたか。

川上敬太郎さん「投稿者さんの、『一番認められたい相手に認めてもらえないのは切ないです』という一言が印象に残りました。お金には困っていないと言えるほどの収入があり、周囲からは羨ましがられそうですが、悩まれている内容は妻に認めてもらいたいという素朴な思いのようです。 そんな純粋さが、回答者から投稿者さんに共感する声が多く集まる理由の一つなのではないかと感じました」

   年収2000万円稼いでも出世しないと妻から相手にされないと嘆く夫からの投稿について、川上さんのアドバイスも熱を帯びました――。<「年収2000万円でも、出世しないとダメ?」妻の冷淡さ嘆く夫の投稿が賛否!「出世に汲々の人よりステキ」「カネではなく人間力の問題」...専門家に聞いた(2)>に続きます。

(福田和郎)

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