「お金を支払わないと裁判になる、警察が来る」と脅す
【事例3】電話が来て、介護施設に入る権利があると言われた。次の人に名義を譲ってと言われ了承すると、1000万円振り込むよう言われた
大手証券会社を名乗る者から、「あなたは介護施設に優先的に入る権利がある」と電話がきた。「自分はまだ施設に入る気はない」と言うと、「順番待ちしている人がいる。もし入居しないのであれば、入居を待っている人に名義を貸してほしい」と言われた。
お金の話は出てこないかと何度も確認したが、「ない、名義のみ」と言うので了承した。後日、別の会社の人から電話が来て、「あなたが名義を貸した人が入居できることになった。入居するためには証券会社にお金を入れなくてはいけない。あなたの名義でお金を振り込んでもらわなければ困る。今日1000万円用意してほしい。今後他の会社から電話が来るかもしれないが、ハイハイと聞くだけでいい」と言われた。
再び、最初に電話をしてきた証券会社からも電話がきた。「お金の話にはならないと言ったのに、1000万円振り込むよう指示された」と伝えると、「300万円なら用意できる。700万円はどうにかしてもらえないか」と言われた。私の口座に300万円を振り込むと言うので、金融機関の口座番号は伝えてしまった。お金を支払わないと裁判になるとか、警察が来るとか言われている。どうしたらいいか。(2022年8月・70歳代女性)
このように、被害者が持ってもいない「老人ホーム入居権」を持っているかのように装い、複数の詐欺師グループが交代で電話に登場。「権利を譲って」「名義を貸して」などと持ち掛けてくるのが共通の手口だ。すべて詐欺と思って間違いない。
国民生活センターでは、こうアドバイスする。
(1)「老人ホーム入居権」の話には注意する。「権利を譲ってほしい」などと持ち掛けてくるのは詐欺の手口。承諾すると「あなたの名義で申し込みをするので、一度お金を支払う必要がある」などと言葉巧みにお金を支払わせようする。
一度電話に出ると、あの手この手で話を持ち出すので断ることが難しくなる。留守番電話機能や発信者番号表示機能を利用して、番号非通知や心当たりのない番号には出ないようにする。
(2)万一不審な電話に出て、話を聞いてしまっても絶対にお金を払わない。すぐに警察、家族・友人、消費生活センターに相談する。
(3)【周囲の人へ】高齢者を狙った詐欺を防ぐには、周囲の人の見守りが必要。「お金が必になった」と言うなどの異変に気づいたら声をかけ、警察や消費生活センターに相談する。
(福田和郎)