他チームへの協力に、頑なに応じない部下...どう説得する?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE17(後編)】(前川孝雄)

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   「前川孝雄の『上司力(R)』トレーニング~ケーススタディで考える現場マネジメントのコツ」では、現場で起こるさまざまなケースを取り上げながら、「上司力を鍛える」テクニック、スキルについて解説していきます。

   今回の「CASE 17」では、他チームへの協力に頑なに応じない部下のケースを取り上げます。

  • 他のプロジェクト参加を部下へ依頼するには、どうしたら…?(写真はイメージ)
    他のプロジェクト参加を部下へ依頼するには、どうしたら…?(写真はイメージ)
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【「視界の違い」その(2)―空間軸】

   <他チームへの協力に、頑なに応じない部下...どう説得する?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE17(前編)】(前川孝雄)>の続きです。

   上司と部下との視界の違いの二つ目は、「空間軸」でのとらえかたの違いです。

   これは、「職場内で他のメンバーがどんな仕事をし、組織の中でどうつながっているか」「組織の仕事は他の組織とどうつながっているか」を認識するということです。

   人は、誰かの役に立てることに喜びを感じられるものです。自分の仕事に「誰かのためになるのだ」という意味を見出せてこそ、モチベーションはアップします。

   しかし、部下は自分の仕事と組織との関わりや、組織の仕事と会社全体との関わりにまで視野が広がりにくいものです。自分が担う役割にどんな意味があるのか、どのように誰の役に立っているのかが実感できず、多忙な業務に徒労感を覚えがちです。経験の浅い若手ならなおさらです。

   上司は、部下たちがそれぞれどんな役割を担い、組織にどう関わっているかが見えているでしょう。上司からすれば、当たり前のことだと思いがちですが、部下にとってはそうした視野が持ちにくいのだということを意識する必要があるのです。

任せる仕事の広がりの意味を伝える

   部下のやる気を引き出して成長軌道に乗せるためには、部下が担う役割の意味、それが誰にどう役立つのかを伝え、他のメンバー、組織や会社全体との関わりについても、説明することが求められるのです。

   冒頭のケースの場合なら、次のように伝えることが考えられるでしょう。

「今回の営業イベントは、組織にとってとても大切なんだ。まず地域のお客様に対して、うちの局の商品やサービスの内容や、そこに込めた思いをしっかり伝える大事な機会になる。
また、イベントの準備と運営は、職場のチームワークを高めるとともに、組織全体にもわが部署のメンバーの活躍ぶりをPRして、会社全体を盛り上げていくチャンスだと考えている。
君にはその仕事に一緒に参加することで、日頃行っている一つひとつの仕事が、組織一丸となって取り組んでいる仕事の一環であることも、あらためて感じてほしいんだ」

   部下との「時間軸」と「空間軸」という「視界の違い」を上手に伝え、動機づけを図りながら、育てていきましょう!

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版、2020年10月)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。

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