日本人の5人に1人、つまり2500万人以上は、不眠症に悩んでいるというデータがあります(厚生労働省)。今回紹介する一冊は、22年間、多くの人をカウンセリングし、不眠の症状を改善させた心理カウンセラーが書いたもの。本書は、そんな不眠に悩む方々に向けた「眠り」の本です。もう、お酒もクスリも必要ありません。
「3分読むだけでグッスリ眠れる本」(弥永英晃著)秀和システム
催眠療法とは何か?
本書では、催眠療法という手法が取り上げられています。これは、海外の一流大学や有名な研究者が、実際に使っているそうです。しかも、催眠療法は眠りだけでなく、多くの現代病の疾患にも効果を出しているとの報告があるとのことです。本書から、その一例を。
「エール大学で医学博士号を取得した精神科医のブライアン・ワイス博士は、催眠療法を使用して、クライアントの心理的治療をおこなっています」
「ハーバード大学医学部では、催眠療法が神経受容体を阻害することにより、痛みや苦しみに影響を与えるという研究を発表しています」
「ワシントン大学のディビット・パターソン医師は、火傷の治療に催眠が効果的であると報告しています」
「UCLA(カリフォルニア大学 サンゼルス校)神経内臓学・女性健康センターのブルース・ナボリフ医師は、過敏性腸症候群に催眠を利用しています」
「世界的な心理学の名著『ヒルガードの心理学』(アメリカの心理系大学院では教科書にも指定されている)の著者で、アメリカ心理学会の会長を努めたアーネスト・R・ヒルガードも、スタンフォード大学で催眠の研究をおこない、その効果についての著作を残しています」
これらを紹介したうえで、著者の弥栄さんは、次のように説明しています。
「もちろん、日本の名だたる大学や研究機関でも、催眠療法は実際に使われています。しかも、その歴史はかなり長いものがあります。東京大学の福来友吉は『催眠術の研究』の論文により、文学博士号を取得しています。このとき、時代はまだ明治です」(弥栄さん)
「福来博士が、東大での催眠研究を700ページにまとめた大作『催眠心理学概論』は、日本の心理系催眠の大家である九州大学名誉教授の故・成瀬悟策博士に『名著である』と言わしめるほど充実しています。こんなに古くから(もちろん現在も)、東大で催眠が盛んに研究されていたということを、知らなかった人は多いのではないでしょうか?」(同)
パフォーマンスがイマイチ上がらない人に!
このように、本書に使われている催眠療法は、アカデミックな研究がなされ、不眠、その他の健康面や精神的ケアへの効果が期待できそう。本書を読み、潜在意識に働きかける→催眠状態になる→眠くなったら本を置いてベッドや布団で就寝→そのまま催眠状態から睡眠に移行→睡眠中のホルモン分泌で体が回復・健康に→催眠から覚醒する→疲れが消えていて、元気に一日を過ごせる。...こんな好循環を生み出せるといいですね。
睡眠の重要性は説明するまでもありませんが、明らかに、コロナ禍以前とは違ったものになっています。本書で紹介されている方法は、科学的に実証されたものばかり。睡眠が浅く、パフォーマンスがイマイチ上がらないという人にオススメしたい一冊です。一つずつ試していけば、ラクに睡眠がとれるようになるはずです。(尾藤克之)