職務遂行に必要なスキルやマインド「準備ができていた」のは40.6%
調査では、経営者となるためのトレーニングについて聞いている。
現在の役職への就任を打診された時点で、その職務の遂行に必要な知識やスキル、マインドなどの「準備ができていたか」を聞いたところ、「準備ができていた」と答えた人は40.6%にとどまった。「準備ができていなかった」は34.5%だった。
また、経営者として必要と思われる知識やスキルについて、「すでに身につけているもの」と「就任前にもっと身につけておけば良かったもの」を聞いたところ、「もっと身につけておけば良かった知識やスキル」の第1位は、「会社法・税法などに関する法律知識」の71.6%。次いで、第2位は「財務・会計に関する知識」で69.1%、第3位は「外国語によるコミュニケーション能力」の62.2%だった。
一方、「すでに身につけている知識・スキル」の第1位は「リーダーシップに関するスキル」の59.7%、「プレゼンテーションスキル」の52.2%、「コーチングスキル」の45.0が続いた【図2参照】。
ほかに、「これまでに経営者となるためのトレーニングを受けたことがあるか」も聞いた。それによると、「受けてきた」と答得た人は37.8%と4割を下回っているのに対し、「受けていない」が6割超の61.5%にのぼる結果となった。
また、「まったく受けていない」(14.7%)と「無回答」(0.7%)を除く84,6%の人に、「これまでに受けたことのあるトレーニング機会」(複数回答)を聞くと、第1位は「社外の経営幹部育成研修の受講」で52.3%。次いで、第2位は「戦略・ビジョン策定プロジェクトへの参加」で50.6%、第3位は「社内の経営幹部育成研修の受講」で49.4%となった。
調査からは、経営幹部候補を計画的に育成し、役員・経営幹部として必須の経営知識を習得する機会を、会社が用意することが重要であることがうかがえる。
日本能率協会 経営研究主幹で「新任執行役員セミナー」コーディネーターの曽根原幹人氏は、
「経営者となるためのトレーニングを受けていない方が多数となっていること、特に法務や財務・会計など、経営に必須の知識の習得が不足していると、役員・経営幹部自身が感じていることが浮き彫りとなりました。
とりわけ上場企業はコーポレートガバナンス・コードにおいて、各取締役の知識、経験、能力などを一覧化した、いわゆるスキル・マトリックスを開示することや役員を対象としたトレーニング機会を提供することが要請されていますが、企業の競争力や価値創造力の向上に向けて、こうした取り組みを一層強化していくことが急務となっていることが確認できたと思います」
とコメントしている。