これからの経営者に求められる資質とは、なんだろう――。そんな疑問を解決するヒントになればと、日本能率協会(JMA、東京都港区)が「トップマネジメント意識調査2022」を実施した。2022年12月7日の発表。
社会や経営環境の変化が激しい時代に、組織の先頭に立って変革をけん引していく経営者として認識すべき経営課題や、これからの経営者に求められる要件、経営者・役員のためのトレーニングのあり方などを明らかにする目的がある。
変化の激しい時代は「柔軟性」がある人が強い!
調査は、JMAが開いている役員・経営幹部向けの研修プログラムの受講者を対象(2022年7月14日~10月26日に実施。有効回答者数は278人)に聞いた。
これからの経営者に求められる資質として、JMAが28項目を提示。「特に重要であると思われるもの」「自身の強みであると思われるもの」を、それぞれ3つを選択してもらった。
その結果、【図1】のようになった。
特に重要であると思われる資質の第1位は「本質を見抜く力」の41.4%。第2位は「変化への柔軟性」で37.4%、第3位は「イノベーションの気概」で24.8%となった。
いわゆる、VUCA(※)の時代にあって、これからの経営者には本質を見抜いて、変化に柔軟に適応し、イノベーションを実行していく気概が重要である、と考えられているようだ。
(※)Volatility=変動性、Uncertainty=不確実性、Complexity=複雑性、Ambiguity=曖昧性の4つを表す。変化が激しく想定外の事象が発生する、将来予測が困難な状態を指す。
その一方で、「特に重要であると思うもの」と「自身の強みであるもの」を比べた結果をみると、経営者の苦悩がうかがえる。
「本質を見抜く力」(「特に重要であると思うもの」41.1%、「自身の強みであるもの」18.7%)や、「イノベーションの気概」(前者が24.8%、後者は9.4%)と、両者の乖離が大きかったのだ。
また、「特に重要であると思うもの」で第5位(20.5%)となった「ビジョンを掲げる力」は、「自身の強みであるもの」で6.1%となり、やはり大きなギャップが見られる。
さらには、「論理的思考」を自身の強みに思っている人が20.9%だったのに対して、経営者の資質として重要と思っている人は7.2%と少ない。「人への興味・愛情」や「楽観性」も同様の結果となった。
JMAは、「これからの経営者を育成していくにあたって、こうした資質をより一層強化していくことが必要であると捉えることができます」としている。