NHK、「悪質」な受信料不払い者に「2倍割増金」導入へ...ネット騒然「強権的な脅し」「スクランブル化は?」「いい番組多いのに...惜しい」

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   受信料徴収のための「自宅訪問」営業を取りやめたNHKが、「悪質」な受信料不払い者に対して「2倍」の割増金を請求できる制度の導入に動いている。

   2022年12月6日、総務大臣に受信規約の変更の認可申請を行なった。認められれば、来年4月から未納者に受信料の2倍を払わせることができる。

   ネット上では「見たい人だけがお金を払うスクランブル化をなぜ進めない」という批判が殺到。一部に「NHKにはいい番組が多いのに、強権的な手法をとるなんて...」と残念がる意見もあるのだが...。

  • 東京渋谷のNHK放送センター
    東京渋谷のNHK放送センター
  • 東京渋谷のNHK放送センター

NHKへの公開意見の中に...「国民を脅すやり方で理解してもらえると思うの?」

   報道やNHKの公式サイトに公開した「日本放送協会受信規約変更素案」よると、NHKは12月6日、受信契約の申込み期限や割増金などを定めた受信規約の変更案を議決し、松本剛明総務大臣に認可申請を行なった。

   認可が認められれば、来年(2023年)4月から「受信機の設置の月の翌々月の末日まで」とする申込み期限が新たに設けられるほか、「悪質」と判断された受信料未払い者に対して、「2倍」の割増金が請求される【図表】。

(図表)割増金に関する放送受信規約(素案)の内容(NHK公式サイトより)
(図表)割増金に関する放送受信規約(素案)の内容(NHK公式サイトより)

   今年10月には放送法が改正され、正当な理由がなくてNHKの受信契約の申し込みをしなかったテレビ受信設備の設置者に対する、割増金制度の導入が盛り込まれた。そして、「放送法施行規則」に「割増金の額の上限を受信料額の2倍とする」という内容を示された。それを具体化するための措置なのだ。

   NHKでは、この「2倍割増金」導入案について、公式サイトで今年10月12日から11月10日まで「日本放送協会放送受信規約の一部変更に対するご意見とNHKの考え方」というコーナーを設けて一般からの意見を受け付けており、その結果も公開された。

   意見募集の総数は155件(うち個人150件、事業者5件)で、主な意見に対してNHKの回答も記載されている。

   たとえば、「受信料割増金について:国民を脅すようなやり方で強制的に受信料取って理解してもらえると思うのか? さらに反発を受けることに気付いてほしい」という意見に対しては、こう回答している。

NHK「(放送法改正で割増金が規定されたためだが)これまでのNHKの方針の通り、NHKの価値や受信料制度の意義に共感していただき、納得してお手続きやお支払いをいただくことが重要であると考えています。
そのため、今回の受信規約の変更によって割増金が請求できるようになっても、丁寧な説明に基づき、公平負担に取り組んでまいりたいと考えています」
テレビ離れの中、パソコンでドラマを楽しむ人は少なくない(写真はイメージ)
テレビ離れの中、パソコンでドラマを楽しむ人は少なくない(写真はイメージ)

   また、割増金に反対だという人からの「現在のNHK番組には公共放送と呼べないものが多くを占めている」や、「割増金を設定するなら、何が公共放送にふさわしいか、受信料はいくらがよいか、議論すべきだ」という意見への回答はこうだ。

NHK「割増金の水準は、鉄道営業法や電気供給約款など国内類似法制度の水準を参考として、総務省令で定める上限である所定の受信料の2倍に相当する額とすることを規定したいと考えています。
割増金が請求できるようになっても、NHKの価値や受信料制度の意義に共感していただき、納得してお手続きやお支払いをいただくという、これまでのNHKの方針を変えずに公平負担の実現に取り組んでいくことが重要だと考えています」

   これを読むと、鉄道営業法の不正乗車に対する「割増賃金」を参考にしたというだけで、「公共放送のあり方」に対する疑問に真正面から答えていない。

   もっとも、NHKが考える「公共放送とは何か」という答えらしきものが出てくるのは、「スクランブル化」の要求に対する回答だ。

スクランブル化しない理由「『公共の役割』と相容れない」

スマホで情報を得られる時代に公共放送の意義は?(写真はイメージ)
スマホで情報を得られる時代に公共放送の意義は?(写真はイメージ)

   具体的には、「(割増金で)嫌がらせをするのではなく、スクランブル化すれば多くの人々が納得するのは明らか」、「テレビを持たない世代や若者が増えている現状で、受信料徴収は不公平。契約者のみに放送できる仕組みを整備すべき」という意見に対する回答が、それだ。ここには――。

NHK「NHKには、放送法第15条に規定されている通り、公共の福祉のために、あまねく日本全国で受信できるよう、豊かで、かつ良い番組を放送することが求められており、社会のすべての人たちに、必要不可欠な情報をあまねく公平にお届けするという公共の役割を果たすために、自主的な財政基盤として受信料制度が設けられています。
受信料は、NHKの事業を維持・運営するための特殊な負担金であり、放送の対価としていただいているものではないことから、スクランブル化し、受信料を支払わない方に放送番組を視聴できないようにする方法は、放送法でNHKに求められている『公共の役割』と相容れないものと考えています」

   つまり、受信料は「放送内容の対価」ではなく、「公共放送NHK」が存在するための特殊な対価であると受け取れる、というわけだ。

自宅訪問、郵便作戦に次ぐやり方...払う意思のない人には結局ムダ?

NHKにはニュース報道への期待は大きい(写真はイメージ)
NHKにはニュース報道への期待は大きい(写真はイメージ)

   今回のNHKの「2倍割増金」導入についてヤフーニュースのコメント欄ではさまざまな意見が寄せられている。

   まず、「2倍割増金は強権的なやり方だ」という批判が多かった。

「とうとうNHKが強権を発動して割増金請求に踏み込んできたなという感じです。まずは見せしめ的に堂々と受信料支払い拒否を宣言して不払いをしている人たちがターゲットでしょうか。スクランブル化に対するNHKの反論である『スクランブル化は〈公共の役割〉と相容れない』についても、そもそも『公共の役割』とは何かが明確になっていなくて、民放やネット動画で容易に見ることができるバラエティー番組やプロスポーツ番組が公共放送の役割なのだろうかと思います」
「コロナの影響で自宅訪問と言うピンポイントでの狙い撃ちが出来なくなった結果、郵便での請求といった手段に出たが、成果はほとんどなかったようだ。どうやら次の手段がこの2倍割増作戦らしいが、効果はどうだろうか。おそらく郵便作戦と同様、効果は期待できないだろう。そもそも支払う意思がない人に2倍になるぞと脅しても、当然意に介さないだろう。(中略)ここは潔く見たい人だけがお金を払って見るという平和なシステムを導入するべきではないだろうか」
「自分は受信料を払っているから、払っていないのにNHKを視聴している人には複雑な気持ちがある。それでも、こんな法律をタテに脅すようなやり方は賛成できないよ。こんなやり方をするから反感を買うんじゃないかな」
「悪質って誰が判断するの?」

スクランブル化の是非...「国民投票にかけたほうがいい」の声

   もうテレビの時代は終わったという意見も多かった。

「昔と違ってテレビの役割は変わっているからね。(いまや)ワールドカップもテレビがなくても楽しめちゃうからね。殿様商売は終焉だよ!」
「自分は地デジ化を機にテレビを捨てて10年以上経つけど、困ることは98%くらいいない。残りの2%はテレビでしかやらない番組を見られないことかな。でも大した問題ではない」
「スポーツ番組やドラマもネットで配信されているから、チューナーレステレビで十分です。ドラマはリアルタイムで見ていないから、後日ネット配信で見ている状況。最近は大型のチューナーレステレビも売っている」

   一方で、「スクランブル化すべきだ」という意見が多かったが、もはや「国民投票にかけたほうがいい」という意見も目立った。

「NHKの受信料こそ、このままの制度で継続するのか、スクランブル化するのか、国民投票で決めるべきです。戦後の頃でもあるまいし、今はテレビでなくても、国民には色々な情報取得手段がある。強制的に受信料を徴収するのは時代に合っていない。少なくとも、見る、見ない、の選択権は与えられるべきです。国民の意見を丁寧に聞くのではなかったのか?岸田さん」
「NHKよりも重要な電気・ガス・水道はどうか。電気・ガス会社は選べるし、ガスは通さずすべて電気も選択できる。ガスは地域によっては都市ガスかプロパンか選べる。水道についても、地下水を使っている世帯もある。鉄道はどうか。沿線によって鉄道会社は選択できる。そもそも鉄道に乗るかどうかの選択ができる」

応援エールも...「『豊かで良い番組』のためNHKは頑張っている」

NHKには災害報道への期待は大きい(写真はイメージ)
NHKには災害報道への期待は大きい(写真はイメージ)

   このように紛糾する「受信料問題」について、こんな提案をする人も。

「受信料に関しては、テレビ購入時に登録を義務付けてほしいですね。そうすれば、よけいな契約コストもかからないから受信料の値下げが可能。テレビが売れなくなってチューナーレス開発や、民放のネット配信が促進される可能性もあり、消費者にはメリットしかない」

   一方、NHKに応援エールを送る人も少なからずいる。

「ニュースも、高校野球も、オリンピックも、朝ドラも、災害情報も見ないですか? 30年以上前に加入して、払い続けています。払っていない人は視聴できなくなればいいのです」
「自分は、テレビはNHKしか見ないし、当然払っているが、未納の人たちが払ってくれれば、もっと質が上がるのかなと思っている」
「どんなに騒いだところで、NHK本体には150件の意見しか来ていないそうです。4000万件(編集部注:NHKが今年10月に発表した9月末時点での契約総数は4135万件)のうちの150件の意見。皆さんのよく言うマイノリティーの意見。そりゃあ、スクランブル化なんて通らないでしょう。住所と名前を書いて堂々と意見してみたらいかがですか?」
「(NHKが言う)『豊かで、かつ良い番組』。これは決して妄想ではないよ。普段から見てもらわなきゃ、緊急時だって見てもらえるワケがない。いや、その前に放送ができない。普段から見てもらえる番組を作って流すから、出演者も制作者も集まる。(中略)NHKに限らず、維持するためには金も要るが、仕事とやりがいが何よりも要るのだよ」

(福田和郎)

姉妹サイト