仕入れ価格と販売価格の「逆ザヤ」が起きている
新電力の多くは、自前の発電所を持たず電力大手や卸電力市場から電力を調達することで発送・配電コストを圧縮し、割安な料金設定とすることで顧客を囲い込んできた。
12月5日付の朝日新聞朝刊は、トップニュースで「『地域新電力』に試練 自前電源足りず 価格高騰直撃」「8割が新規契約を停止」の見出しで、エネルギーの地産地消などをうたって立ち上げられた「地域新電力」が苦境に陥っている、と報じた。
同社と環境NGOのパワーシフト・キャンペーンが今年10月に、自治体が出資したり、自治体と協定を結んだりした89社に卸電力市場の価格高騰が続く状況について質問した。
その際、回答のあった72社のうち、86%(「甚大な影響で、今後の経営継続に影響を与える」18社と「影響があるが経営は継続の方向」44社の合計62社)が「経営に影響がある」とした。8社が「影響はそれほど大きくない」と答えた。2社は「無回答」だった。
朝日新聞は、「自前の電源の割合が低く、電力の調達を卸市場に頼るが、電力価格の高騰で仕入れ価格が販売価格を上回る『逆ザヤ』が起きている」と指摘。卸電力の市場価格が高騰しても販売価格は容易には上げられず、売れば売るほど赤字になる状況にある、としている。
前述の調査によると、対策として8割が「新規の受け付け・営業を停止」、7割が「料金の値上げを実施または検討」していた。また、市場への依存度を下げるため、自前の発電所を建設したり、市場に連動しない再生エネルギーによる電力調達を増やしたりする事業者が7割、蓄電池の導入などにも4割近くが取り組んでいた、という。