萩生田政調会長、統一地方選控え「増税論議」けん制
政府は防衛費の増額にあたり、特別会計の「剰余金」の活用などで、当座はしのぐ方針だ。
ただ、毎年の防衛予算をこれだけで賄い続けるのは無理がある。遅かれ早かれ、安定財源確保のために増税は避けられないとの立場だ。
とはいえ、鈴木氏には増税を声高に叫べない事情がある。6日の会見でも、増税について問われると「与党と相談しながら、年末に一体体的に決定すべく調整する」と述べるにとどめた。
鈴木氏が気にしているのは、自民党内の動向だ。
自民党はロシアのウクライナ侵攻を受け、防衛費の増額を岸田政権に強く迫ってきた経緯がある。だが、首相指示の形で増額が現実味を帯びると、引き換えに浮上してきた財源論に急に尻込みし始めた。
自民党の萩生田光一政調会長は6日の党会合で「(防衛費増額分の)すべてを税で賄うとか、来年から増税が始まるとの間違ったメッセージを統一地方選前に出すのは大きなマイナスだ」と述べ、財源論が増税議論に直結することを強くけん制した。
公明党を含む与党内には「防衛費をGDP比1%から2%に引き上げる以上、安定財源を確保するには増税以外に手はない」との正論もあるが、自民党内には増税をできるだけ先延ばししたい思惑が渦巻いている。