対象となる「特に脆弱な途上国」の線引き、「損失と被害」の定義など...論点多く
ただ、新基金の詳細は何も決まっていない。
基本枠組みを詰める専門の委員会(先進国10か国と途上国14か国で構成)を12月に発足させ、支援対象となる国や資金拠出の方法などを検討し、2023年11~12月のCOP28での採択をめざすが、議論の行方は不透明だ。
今回の決定では、支援の対象を「気候変動の悪影響に対して特に脆弱な途上国」としたのは、対象を限定したい先進国側の主張を受け入れたものだが、具体的な線引きは未定だ。
基金の対象になりそうな温暖化の影響に脆弱な途上国55か国が試算した過去20年のインフラなどの被害は総額5250億ドル(74兆円)に達し、これらの国々の国内総生産(GDP)の20%に相当するという。
ただ、損失と被害の定義も、インフラや不動産だけでなく、生態系の被害も対象にするかなど、論点は尽きない。