1000万人もの深刻な人出不足が「賃金インフレ」を加速
今回の雇用統計、エコノミストはどう見ているのか。
ヤフコメニュースのコメント欄ではソニーフィナンシャルグループのシニアエコノミスト渡辺浩志氏が、
「雇用者数と平均時給が市場予想を上回る強い結果。米国では今なお1000万人以上の求人が滞留しており、大手IT企業で相次ぐ大量解雇も速やかに他企業に吸収され、失業率は低いまま。人手不足に伴う賃金インフレが長引きやすい状況です」
と、深刻な人出不足がインフレ抑制を難しくしていると解説。つづいて、
「今後の利上げペースは減速の公算も、高インフレは長引き、政策金利は5%前後まで引き上げられる見込みです。強い雇用統計の結果は厳しい金融引き締めを通じて景気後退を招くでしょう。市場では政策金利に反応し短期金利が上昇する半面、景気後退懸念から長期金利が低下し逆イールドが拡大しています。
意外なのは株式市場の底堅さ。来年中の利下げを期待し市場心理(PER)が好転しています。しかし、市場がFRBのハト派化を過度に期待し、時期尚早な株高となれば、それが金融環境を緩めインフレの鎮静化を遅らせます。拙速な市場の楽観をFRBはよしとせず、必要とあればタカ派姿勢を強め、市場に冷や水を浴びせるでしょう」
と、FRBが利上げペースを緩めるとの金融市場の甘い期待は禁物との見方を示した。
米国では労働者が1000万人もひっ迫しているため、企業は高い賃金を提示して従業員集めようとする。すると、賃金インフレが起こり、さらに物価高騰を招くインフレの「悪循環」に陥っているというわけだ。