深刻化が予想される「物流の2024年問題」 ドライバーの確保「他人事でなくなる」事態に

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現在の経営課題は燃料価格、ドライバー不足と高齢化

   調査では、「現在の物流・運送業の経営における課題」についても聞いた(複数回答)。「燃料価格への対応」と答えた経営者は67.3%、「ドライバー不足」が60.4%、「ドライバーの高齢化」が55.4%となった。

   現在のドライバーとの関係性について、特に配慮していることを聞いたところ、こんな声が寄せられた。

「ドライバーとの対話を重視、特に悩み事全般を包み隠さず話せる状態の構築と維持。心理的安心感の担保を心掛けている」(62歳)
「売上面で向上心を持てるメリハリのある働き方の推奨」(53歳)
「勤務時間の明確化と超過勤務手当はキチンと支払う」(63歳)
「居心地の良い職場環境(人間関係)に気を配っている」(55歳)
「責任の分散化、労働環境の改善」(54歳)
「休みを取りやすい環境を作ったり、定期的に話をする時間を作ったりしたい」(50歳)
「労働時間と拘束時間」(45歳)
「ドライバーの意見も尊重しつつ、より良い環境作りをしている」(40歳)

   それでなくても、ロシアのウクライナ侵攻などによる燃料価格の高騰で、運送業者らの経営状況は厳しい。こうした事態に、「2024年問題」がさらに追い討ちをかけることになると、物流危機は深刻さを増すことになる。

   ドライバーの確保は地域別でみても、地方に加えて関東、中部、近畿の3大都市圏でも不足する割合が10%を超え、「ドライバーを確保するには、他産業並みの労働時間と賃金にする必要がある」との指摘もある。

   運送業者の中には、トラックドライバー不足は荷主の製造業などばかりでなく、不特定多数の荷主の貨物を1台の車両にまとめて積載して、全国規模で輸送する特積み事業者や元請けの運送業者などへの影響も大きい、との声がある。

   もちろん、運送コストを商品価格などに転嫁することになれば、さらなる物価上昇につながる。物流危機の深刻化は、他人事ではないというわけだ。

   なお、M&Aキャピタルパートナーズの「物流・運送業のM&Aの意識調査」は、2022年10月24日~25日にインターネットで実施。有効回答は、物流・運送業の経営者101人だった。

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