医療費・介護費の「負担」問題...現役世代、高齢者世代それぞれどう思っているか? 健保連調査で明らかに(鷲尾香一)

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被保険者1人当たり月額6000円の介護保険料「重い」57.6% 介護保険サービスの自己負担「高い」35.6%

   それから、2021年度現在で、被保険者1人当たり月額6000円となっている介護保険料については、「非常に重いと感じる」「やや重いと感じる」との回答が計57.6%となったが、医療費負担、健康保険料負担と同様に60歳代で63.9%、70歳代で63.8%と高齢者が強い負担感を感じていた。

   一方で、介護保険サービスの自己負担については、「非常に高いと感じる」「やや高いと感 じる」との回答は計35.6%にとどまっている。各世代の中では、60歳代が37.8%でもっとも負担を感じている結果となっているが、70歳代では32.6%にとどまっている。

   サービスの自己負担については、自らがサービスを利用したことがなければ、実感を持って回答することが難しいのかもしれない。

   今回の調査では、政府が進めている病院の再編・統合についても質問されているのだが、「統合された病院の機能が充実するのであれば、病院の再編・統合に賛成である」と45.5%が回答。

   また、37.7%の回答者が「人口減少により医療の需要が減っている場合は、病院の再編・統合はやむを得ない」、31.3%の回答者が「医療従事者の確保が難しい場合は、病院の再編・統合はやむを得ない」とした。

   そして、「税金の投入や国民の負担を増やしてでも、病院の再編・統合はすべきでない」との回答はわずか13.2%にとどまっている。

   だが、この病院の再編・統合の背景には、政府が進める「医療機関の機能分化」があり、その推進方法にはさまざまな疑問がある。

   たとえば、紹介状なしで大病院を受診する場合の初診料が徐々に引き上げられ、今年10月1日からは7000円になっており、アンケート回答者がこうした状況を理解したうえで回答したのかは不明だ。

   いずれにしても、増大を続ける医療費・介護費の負担をどのようにまかなっていくのかは、社会保障制度の根幹にかかわる問題であり、その解を求めるのは至難の業といえそうだ。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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