医療費・介護費の「負担」問題...現役世代、高齢者世代それぞれどう思っているか? 健保連調査で明らかに(鷲尾香一)

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35万1800円の国民医療費「重い」64.8% 月額1万6300円の健康保険料「重い」68.7%

   つづいて、2019年時点で、国民1人当たり35万1800円となっている日本の国民医療費の規模に対して、「非常に重い」「やや重い」との回答が計64.8%を占め、特に60歳代では70.1%、70歳代では73.1%と高齢者で高くなっている。

   また、2020年現在で、加入者1人当たり月額1万6300円となっている健康保険料については、「非常に重いと感じる」「やや重いと感じる」との回答が計68.7%を占め、こちらも60歳代で75.5%、70歳代で73.4%と高齢者で高い割合となっている。

   このように、年金収入に頼らざるを得ない高齢者世代では、医療費負担、健康保険料負担に対して、「負担が重い」と感じている割合が非常に多いことが浮き彫りになっている。

   しかし、「今後、ますます増加する高齢者の医療費をどのように負担するか」を複数回答で聞いたところ、「患者自身の受診時の自己負担割合を引き上げる」が26.5%、「高齢者自身による保険料の負担を増やす」が22.0%という順となり、高齢者の負担を求める考えが上位を占めている。

   特に、30歳代は各世代の中でも、「患者自身の受診時の自己負担割合を引き上げる」と「高齢者自身による保険料の負担を増やす」の両方の回答がもっとも多くなっている。

   「税金による負担を増やす」は全体で17.2%だったが、70歳代では28.2%でトップ、60歳代では19.6%で2位の回答だった。

   一方、「現役世代が支払う保険料からの支援金を増やす」の回答は全体では7.0%にとどまったが、この回答を選んだ割合が最も多かったのは20歳代の11.5%。現役世代の中でも、20歳代とそれ以外の30歳代から60歳代までの間での考え方の差が鮮明になっている。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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