地図から消える「ローカル線」問題...解決に向け、新しいモビリティサービスの可能性探る

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デジタル技術が可能にする新しい交通

   さらに、今後、デジタル技術が可能にする新しい交通についても、検討している。

   その1つがMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス=マース)である。MaaSとは、ICT(情報通信技術)を活用して、交通の情報をクラウドに一元化。それにより、自家用車以外のあらゆる交通手段を統合するサービスや取り組みを指す。

   従来よりも、ドアtoドアで小回りの利くモビリティサービスはすでに実現している。たとえば北海道上士幌町では、90歳を超える高齢者も含めてタブレットを使い、デマンドバスを予約し、買い物やお風呂に通ったり、地域の陶芸クラブに通ったりする光景が当たり前になっているそうだ。

   自家用車社会と鉄道が共存するにはMaaSが必須だとしており、人口密度が低い地域で通用する新しい交通プラットフォームの構築を提言している。

   「鉄道を残したい」という「想い」を類型化するなど、情緒を排した理論的枠組みを提示したところに本書の意義を感じた。今後、日本各地で進むであろう議論のフレームワークになるかもしれない。(渡辺淳悦)

「地図から消えるローカル線」
新谷幸太郎編著
日経BP
990円(税込)

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