鉄道の存廃について...4つのタイプごとの対策
本書では、「シンボル的価値」を可視化することが、「鉄道を維持すべきかどうか」の議論の出発点になる、としている。「シンボル的価値」とは、言い換えると地域の「想い」であり、4つのタイプにまとめている。
1つ目は、輸送密度が1日200人以下ときわめて少ないが、生活基盤として日々の「いとなみ」を守る機能を重視している地域だ。小型のデマンドバスの導入が望ましい。
2つ目は1日200~2000人と少ない地域内輸送路線だ。地域の「にぎわい」の機能が期待されているが、鉄道駅を再利用した立派なバスターミナルを用意すれば、いまの鉄道の役割は継承できるのではないか、としている。
3つ目も1日200~2000人と少ないが、かつての広域輸送路線である。以前は特急・急行列車が走り、大都市との「つながり」のシンボルだった。鉄道跡地を活用したバス専用道を走るBRT(バス高速輸送システム)がふさわしいと提案している。
4つ目は1日2000人以上と一定の利用がある路線で、駅を中心とした「ひろがり」を重視している地域だ。鉄道としての維持が可能だが、高校や病院といった公共施設を駅前に移転させるなど地域側の努力を求めている。