スカイマーク株の保有続けるANAHD...今後への影響は?
さらに、今後の経営戦略とも絡んで、上場後の株主構成も注目だ。
新株発行と既存株主の保有株放出で、上場後の大株主の保有比率は、筆頭株主の投資ファンド・インテグラルが現在の50.1%から27%、三井住友銀行(SMBC)と日本政策投資銀行の共同ファンドが33.4%から13.9%、ANAHD16.5%から12.9%に、それぞれ低下する見通し。
ここでのポイントは、ANAHDとの関係だ。
新株発行があるから保有比率はやや下がるが、上位2ファンドが一定の株を放出するのに対し、ANAHDは放出せずに保有を続けるという。
ANAHDといえば、経営不振に陥ったスターフライヤー、エア・ドゥ、ソラシドエアという「第三極」航空会社を支援し、積極的に傘下に収め、コードシェア(共同運航)を実施している。
この際、「第三極」航空会社からすると、自社運航便の一定の席をANAに売ってもらうことで搭乗率の向上が見込め、販売システムの共通化でコスト削減も図れる。一方で、ANA便として販売できるようにするため、座席の間隔などANAと同等のサービス水準が求められ、極端な低価格販売もできない。
ANA、JALより安価でありながら、一定水準のサービスを提供するスカイマークは、ANAなどの大手とLCCの中間という立ち位置にあり、それが強みだ。今後、この特徴を維持し成長していけるのか、あるいは独自性を薄めていくことに活路を求めるのか――。ANAHDとの関係は、スカイマークの行く末を占うカギになりそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)