近日発表の経済指標次第では、再び円安加速か?
ところで、急激に円高が進んだことについては、エコノミストはどう見ているのか。
ヤフーニュースのコメント欄で、第一生命経済研究所主任エコノミストの藤代宏一氏は、
「ドル円が150円を突破する可能性は大きく後退しました。昨日のパウエル議長の発言は必ずしも米金利低下を促す内容ではありませんでしたが、金融市場参加者は2023年中の利下げを意識しつつ米国債を買い進みました。その結果として日米金利差は縮小。136円台まで円高方向に進むきっかけとなりました」
と、背景を解説。
同欄では、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏が、
「もともと、金融市場が利上げペースピークアウトを楽観的に織り込み気味だったために、パウエル議長からけん制の発言が警戒されていました。にもかかわらず、利上げペースピークアウトに加えてFF(フェデラル・ファンド)レートの上限引き上げも若干抑制的なトーンとなったことから、一段とドル安が進んだといった構図です」
と、金融市場の思惑先行だったと説明。つづけて、
「ただ、あくまで利上げペースは今後の経済データ次第となり、今晩(12月1日)の(全米を対象としたインフレ率である)PCEデフレーターや明日(12月2日)の(景気先行指標である)ISM製造業景気指数や雇用統計と重要指標が立て続けに公表されますので、こちらにも注目でしょう」
とみている。すぐに発表される経済指標次第では、再びドル円相場がひっくり返る可能性を示唆したかっこうだ。(福田和郎)