「親の心、子知らず」。テレビの経済番組で、日本人エコノミストがパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)の発言に狂喜乱舞するウォール街をそう評した。
2022年11月30日、パウエル氏が講演で「12月に利上げペースを緩める」可能性に言及したからたまらない。FRBの「ハト派」変身への期待からダウ工業平均株価が急騰、あおりを受けてドル円相場も円高に動いた。
エコノミスト氏曰く、「パウエル氏は、講演後の会見では、結構タカ派の内容も織り込んで市場に説明していたのに、そちらはあまり聞かずに...」。どうなる、米国経済?
ウォール街のハシャギのあおりで、1ドル=135円台の円高に
報道をまとめると、パウエル議長は11月30日、米ワシントンのブルッキングス研究所で講演、利上げを減速する時期について、「早ければ12月の会合になる」と述べた。この発言がウォール街を喜ばせた。
パウエル議長は「インフレ率が実際に低下していることを確信するには、さらに多くの証拠が必要だ」と強調。「過去1年間、引き締めと成長の鈍化にもかかわらず、インフレ率の鈍化に明確な進展はみられない」とも述べ、今後も高い物価上昇が続いた場合は利上げの回数を増やして対応すると、「タカ派」の考えを改めて強調したのだが...。
マーケットに目を向けると、ダウ平均株価の終値は、前日比737.24ドル高の3万4589.77ドル。4月以来、約7か月ぶりの高値に。IT企業銘柄が多いナスダック総合指数の終値は、484.22ポイント高の1万1468.00だった。
これを受けて12月1日、東京外国為替市場で日米の金利差縮小が意識され、円高が加速。一時1ドル=135円台をつけた。135円台は8月下旬以来、約3か月ぶりだ。