SOMPOホールディングス株9.8%安、業績予想の下方修正で売り殺到...北米ハリケーン、国内で自動車保険金増加など影響

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   損保大手のSOMPOホールディングスの株価が、2022年11月21日の東京株式市場で一時、前週末終値比599円(9.8%)安の5523円まで急落した。前週末18日に2023年3月期連結決算の業績予想について、大幅に下方修正したのを嫌気した売りが殺到した。

   下方修正には米国のハリケーンなどの大型災害発生、自動車保険金の増加などが影響した。その後、21日の下落分を取り戻す途上にあるように見えるものの、同業他社が示したような株主還元策がないことから、株価上昇力は限定的との声も聞かれる。

  • SOMPOホールディングス株に注目(写真はイメージ)
    SOMPOホールディングス株に注目(写真はイメージ)
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北米ハリケーン「イアン」フロリダ上陸、損害557億円...大手損保3社のなかで最大額

   下方修正の内容を確認しておこう。経常利益は従来予想比1200億円少ない1150億円(前期比63.6%減)、最終利益は従来予想比800億円少ない800億円(前期比64.4%減)と大幅な減益を見込む。

   9月に米国フロリダ州に上陸した大型ハリケーン「イアン」による保険会社としての損害額を557億円と、国内大手損保3グループのなかで最大額を見込んだ。

   損保各社は買収による海外進出を積極的に推し進めてきたが、近年、北米のハリケーンリスクが増している。顧客の自然災害リスクをコントロールするのが損保ではあるが、損保各社が北米ハリケーンによる多額の損失を計上する場面が増えており、リスク管理の改革が避けられなくなっている。

   一方、国内の自動車の交通量がコロナとの共存が進む中で回復し、自動車の保険金発生が予想を上回ったことも、今回の下方修正の理由となった。さらに、傘下生保において、自宅療養するなどしたコロナ感染者への保険金が膨らんだことも響いた。

大手損保3社とも、通期の業績予想を下方修正...SOMPOのみ株主還元なし

   ここでSOMPOの歴史を簡単に振り返ってみる。

   国内大手損保は合従連衡を繰り返して現在、東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOの3グループに集約されている。このうち芙蓉グループと非財閥系が合体したともいえるのがSOMPOだ。

   2002年に安田火災海上保険と日産火災海上保険が合併して損害保険ジャパンを設立し、大成火災海上保険を吸収。同じ頃、日本火災海上保険と興亜火災海上保険が合併して日本興亜損害保険を設立し、太陽火災海上保険を吸収していた。

   その損害保険ジャパンと日本興亜損害保険が経営統合し、2010年にNKSJホールディングスを設立。2014年に損保ジャパン日本興亜ホールディングスと改称したが、社名が長すぎることなどから、2016年にSOMPOに再改称した経緯がある。

   大手損保3グループは、SOMPOに限らず、米国のハリケーンなど国内外の自然災害による損害がかさむなどし、いずれも2022年9月中間連結決算発表時に通期の業績予想を下方修正した。

   東京海上とMS&ADはこれに合わせて自社株買いや配当予想の上方修正を公表したが、SOMPOは特になかった点が投資家の不評を買っているとの見方もある。

   逆にいえば、今後の株主還元策次第で株価上昇に弾みがつく可能性もありそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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