外債投資のリスク量は「減少している」
海外での収益に寄与した「円安・ドル高」だが、マイナスの影響は小さくない。
米国の利上げが想定を超えるピッチで続くなか、外国債券の評価損はMUFGが1兆8409億円、三井住友FGが1兆493億円、みずほFGが1兆817億円と、合計で3兆9719億円。6月末と比べて1.5倍に膨らんだ。
ただ、3社ともリスクヘッジに努めている。
MUFGが11月16日に開いた「2022年度中間期決算 投資家説明会」の資料によると、外貨金利上昇への対応として、「ヘッジツールの活用などを通じてポジションを落とし、評価損失の悪化幅を抑制する」と説明。ポジション・コントロールによる対応はMUFGだけではなく、3社とも同様で、いずれも外債の含み損が収益に大きな影響を与える状況にはないと、認識しているようだ。
外債投資にかかる金利リスクの影響について、日本銀行は金融システムレポート(10月号)で「リスク量は減少している」とした。
海外での金利上昇への警戒感から、これまで積み上げてきた長期保有の残高を中心に削減。デュレーション(キャッシュフローの平均回収期間)を短期化させてきた結果、リスク量の対自己資本比率は、大手行(メガバンク)が10%程度に抑えられている、と評価している。
ただ、足もとのドル円相場は、円安がやや落ち着いてきたように見えるが、「日米の金利差」が生じている構図に変わりはなく、引き続き外債運用には神経を尖らすことになりそうだ。