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膨れる外債の含み損、メガバンク3社計で約4兆円に拡大 「収益に影響ない」と言うけれど...

   三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(FG)、みずほフィナンシャルグループ(FG)のメガバンク3社の2022年度中間期(22年4~9月期)決算が出そろった。

   3社すべてで、本業のもうけを示す業務純益が前年から増加するなど堅調に推移したものの、米国の金利上昇を受けて、保有する外国債券の含み損が膨らんだ。

  • メガバンク3社の2022年度中間期(22年4~9月期)決算に注目(写真はイメージ)
    メガバンク3社の2022年度中間期(22年4~9月期)決算に注目(写真はイメージ)
  • メガバンク3社の2022年度中間期(22年4~9月期)決算に注目(写真はイメージ)

三井住友FG、相場操縦の影響は通期で400億円

   メガバンク3社の2022年度の中間期決算は、円安の影響で海外収益が膨らんだほか、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための規制の緩和や、ロシアのウクライナ侵攻による原材料高に伴う貸し出しの伸びで、いずれも好調な結果となった。

   業務純益は、MUFGが前年同月比2577億円増の8952億円で、中間期としては過去最高となった。三井住友FGは1358億円増えて7219億円と、こちらも過去最高。みずほFGは22億円増えて4407億円だった。

   純利益は、MUFGが米国の地域銀行、MUFGユニオンバンクの売却に伴う損失計上が影響して、前年同期比70.4%減の2310億円だった。三井住友FGは、前年同期比15.2%増の5254億円。グループのSMBC日興証券による相場操縦事件の影響が通期で400億円程度のマイナス要因となるとしながらも、最終的な利益である純利益の通期の見通しを7300億円から7700億円に上方修正した。

   みずほFGの純利益は13.4%減の3339億円。リテール・事業法人部門の純損益が赤字となり、振るわなかったが、同社は「赤字は一過性」とみている。

外債投資のリスク量は「減少している」

   海外での収益に寄与した「円安・ドル高」だが、マイナスの影響は小さくない。

   米国の利上げが想定を超えるピッチで続くなか、外国債券の評価損はMUFGが1兆8409億円、三井住友FGが1兆493億円、みずほFGが1兆817億円と、合計で3兆9719億円。6月末と比べて1.5倍に膨らんだ。

   ただ、3社ともリスクヘッジに努めている。

   MUFGが11月16日に開いた「2022年度中間期決算 投資家説明会」の資料によると、外貨金利上昇への対応として、「ヘッジツールの活用などを通じてポジションを落とし、評価損失の悪化幅を抑制する」と説明。ポジション・コントロールによる対応はMUFGだけではなく、3社とも同様で、いずれも外債の含み損が収益に大きな影響を与える状況にはないと、認識しているようだ。

   外債投資にかかる金利リスクの影響について、日本銀行は金融システムレポート(10月号)で「リスク量は減少している」とした。

   海外での金利上昇への警戒感から、これまで積み上げてきた長期保有の残高を中心に削減。デュレーション(キャッシュフローの平均回収期間)を短期化させてきた結果、リスク量の対自己資本比率は、大手行(メガバンク)が10%程度に抑えられている、と評価している。

   ただ、足もとのドル円相場は、円安がやや落ち着いてきたように見えるが、「日米の金利差」が生じている構図に変わりはなく、引き続き外債運用には神経を尖らすことになりそうだ。