学校の「制服屋さん」大ピンチ! 少子化、ジェンダーレス化の波が打撃に...1000通りのデザイン着こなし、ユニクロ参入も

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入学者の制服の男女比が流動的になり、予測できない

青春真っ盛りの高校生(写真はイメージ)
青春真っ盛りの高校生(写真はイメージ)

   とくに発表が遅いケースでは、合格発表から10日ほどで入学式を迎える学校もある。首都圏の中学・高校の合格発表スケジュールは、私立中学が2月初旬。その後、都立の中高一貫校が2月上旬、私立高校が2月下旬、3月の初旬に都立高校の順だ。このため、「制服屋さん」は相応の在庫を抱える必要がある。

   どこの学校にどれほどの入学するのか。制服の多様化や、男女別の入学者数を決めなくなった学校の入試制度の変更も絡み合い、以前は予測しやすかった各校入学者の制服の男女比も流動的になった。これが在庫の見積りを年々困難にしているというわけだ。

   「制服屋さん」の業界では、「余剰在庫のメーカーへの返品が利かない」という慣例がある一方で、学校ごとの男女の制服数を予測することが難しい、早い時期に発注する必要に迫られる。

   田中社長は、「予測が外れるということは、店に制服の在庫がないということ。お客様への納品スケジュールは、さらにタイトになってしまう」と厳しい現状を訴えていた。

   だから、夫婦だけで経営しているような零細規模の「制服屋さん」では、期日までの納品が困難なために、新入生からの受注をストップする業者もあるほどだ。さらに、硬直化した業界構造に先行きを見出せず、事業継続を断念する「制服屋さん」も少なくないという。

合格発表から入学式までのスケジュールは、なかなか厳しい(写真はイメージ)
合格発表から入学式までのスケジュールは、なかなか厳しい(写真はイメージ)

   東京商工リサーチではこうコメントしている。

「制服の価格には学校の意向が強く反映される。2020年、高校授業料が実質無償となったが、学びの場で活用する教材や制服に関しては、自治体の定める収入制限を下回る対象世帯以外、行政からの助成金はない。しかも、助成基準は自治体によって異なり、都心部の平均的な収入の世帯では、子供1人の進学時に十数万円を要するケースは稀ではない。
原材料高や物流費が高騰している中、制服の値上げは容易ではなく、制服屋さんの経営を苦しめている。少子化が加速化する中で、生徒とその家庭同様に、『制服文化』を支える仕組みづくりも求められそうだ」

(福田和郎)

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