学校の「制服屋さん」大ピンチ! 少子化、ジェンダーレス化の波が打撃に...1000通りのデザイン着こなし、ユニクロ参入も

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納品スケジュールが過酷になり、入学式に間に合わないケースも

   東京商工リサーチの調査によると、「制服屋さん」の休廃業・解散は2010年代以降、高止まりを続けている。特に、2015年以降は2017年を除いて10件台での高水準で推移している【図表1参照】。

(図表1)「制服屋さん」の休廃業・解散の推移(東京商工リサーチの作成)
(図表1)「制服屋さん」の休廃業・解散の推移(東京商工リサーチの作成)

   2000年~2021年までの累計件数でみると、最も多かったのは愛知県(14件)で、兵庫県(10件)、京都府(7件)、群馬県、佐賀県、香川県、徳島県、福岡県(各6件)と西日本での休廃業が目立つ。

   背景には、生徒数の激減と学校数の減少が挙げられる。文部科学統計要覧によると、2000年に836万957人だった全国の生徒数(中学、高校、特別支援学校など)は、2021年に641万6910人へ減少した。21年間で194万4407人、率にすると2割以上(23.2%)も減った【図表2参照】。

(図表2)全国の学校数と生徒数の推移(東京商工リサーチの作成)
(図表2)全国の学校数と生徒数の推移(東京商工リサーチの作成)

   学校数(中学、高校、特別支援学校など)も、2000年の1万7673校から2021年の1万6148校と、1525校(8.6%)減少したが、生徒数に比べればまだ微減の状態だ【再び図表2参照】。

   生徒数の激減や、制服の多様化に加えて「制服屋さん」を悩ませているのは、納品スケジュールが過酷になったことだ。

   たとえば今年4月、都内の制服販売会社がメーカーからの納品遅れやコロナ禍での物流の乱れなどで、数十名の新入生に入学式までに制服を届けることができなかったことが大きなニュースになった。会社側が記者会見して謝罪する事態にまで発展した。

   この会社とは、「ムサシノ学生服」の名で知られる、「(株)ムサシノ商店」(東京都武蔵野市)。田中秀篤社長が東京リサーチの取材に応じ、「制服屋さん」業界が抱える深刻な状況をこう語った。

「昔と比べて学校説明会や合格発表が遅くなり、時代の流れとともに進学先選びの考え方も変わってきた。1校だけに絞らず、いろいろな学校を進学先として考える生徒が増え、以前に比べ、先々の受注状況が年々読みにくくなっている」

   制服屋さんの繁忙期は、例年、中学・高校の合格発表が始まる1月下旬から徐々に突入する。忙しさは2月以降加速し、私立高校の2次募集の合格が発表される3月下旬にかけて集中する。

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