「前川孝雄の『上司力(R)』トレーニング~ケーススタディで考える現場マネジメントのコツ」では、現場で起こるさまざまなケースを取り上げながら、「上司力を鍛える」テクニック、スキルについて解説していきます。
今回の「CASE16」では、「大丈夫です」。心配して尋ねても、悩みを話そうとしない部下のケースを取り上げます。
雑談で部下との親近感を高める
<「大丈夫です」。心配して尋ねても、悩みを話そうとしない部下...どう関わる?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE16(前編)】(前川孝雄)>の続きです。
2つ目の「雑談」は、仕事以外の話をすることで、部下との親近感を高める効果があります。みなさんにも、仕事の話しかしなかった人と、ふとしたきっかけで雑談を交わすようになり、グッと親しみが増した経験があることでしょう。
心理学では、「自己開示」と「好意」には相関性があり、自分のプライバシーをオープンにすれば相手は好意を持ってくれ、好意を持つことで相手も自分の胸の内をオープンにしてくれる効果を生むと考えられています。
まだ20代前後の若手は、上司が仕事以外の顔を持っていることに思いが及ばず、「ベテランの上司は、なにが楽しくて働いているんだろう」くらいに考えているかもしれません。
ところが、上司が自分の趣味嗜好や家庭の様子を話すことで、「仕事は厳しいけど、意外に子どもを可愛がっているんだ」「仕事人間に見えたけど、映画も好きなんだ」と、上司にも人間的な側面があることを感じて親近感を抱き、少しずつ本音を明かしてくれるようになるものです。