「大丈夫です」。心配して尋ねても、悩みを話そうとしない部下...どう関わる?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE16(前編)】(前川孝雄)

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部下は上司に本音を見せない

   あなたは自分が若手だった頃、上司に「何か困りごとや不満はないか?」と聞かれて、正直に本音を話せたでしょうか?

   おそらくほとんどの人が「NO」と答えることでしょう。上司に本音を話すことのできる若手は、なかなかいないものです。上司の心象を悪くするかもしれないし、自分の能力を疑われるようなことは、部下としてはできるだけ口にしたくないからです。

   学校の先生と生徒の関係を考えてみても、よほどの信頼関係がなければ、生徒から先生に本音を明かすことはありません。表面上はいい子を演じながら、友達同士では「先生、ぜんぜんわかってないよね」とカゲで言い合うこともあるものです。

   さらに、CASEのように、普段は上司が部下に無関心に感じられる場合、急に「悩みはないか?」などと聞かれても、部下は答えに困るだけです。部下との心の距離を縮め信頼関係を持ちやすくするためには、普段から部下とのコミュニケーション密度を高めるよう心掛けなければいけません。

   そのためには、部下と接する機会を増やすことですが、それにも仕掛けが必要です。そこで有効なのが、「(1)上司から働きかける」「(2)雑談を大切にする」「(3)仕事中のインフォーマルコミュニケーションの仕組みづくり」の3つです。

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