世界は「決済」でまわっている!...その歴史と仕組み、よくわかる入門書

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どうして国際決済は可能なのか?仕組みは?

   国際決済の仕組みについても、わかりやすく解説している。

   対外支払いの大部分は、昔も今も「コルレスバンキング」というシステムを通じて処理されている。金貨をはじめとする硬貨を輸送する必要がないように設計されたものだ。

   コルレスバンキングを航空路線の乗り継ぎにたとえている。グローバルなクロスボーダー決済の主要なハブは10余りのグローバルな取引銀行であり、それぞれがほかの数千の銀行とコルレス契約を結んでいる。

   そして今、国際銀行間通信協会(スウィフト)は、北朝鮮意外のすべての国の1万以上の銀行をつないでいる。端末が与えられ、1日およそ3000万通のメッセージを送り、その半分は支払いに関するものだという。

   最後はビットコイン、暗号通貨、中央銀行デジタル通貨など、技術革新に伴う新しい決済を概観している。

   要所要所では、犯罪との闘いにもふれている。

   金融犯罪は一大産業であり、2018年の収益は推定5.8兆ドル、世界のGDPの7%近くを占め、そのうち約4.4兆ドルが資金洗浄されていたという。このうち、半分近くが各種の詐欺だ。金融犯罪の収益の大部分は、追跡が難しい暗号通貨や現金だと思うだろうが、ほとんどの不正資金はどこかの段階で金融システムを介して流れるそうだ。

   したがって、銀行は金融犯罪との闘いの最前線に立たされており、さまざまな事例を紹介している。フロリダのBCCIという銀行は、金融犯罪のオンパレードで、アメリカの安全保障当局は「ペテン師と犯罪者のための国際銀行」と呼んでいたという。

   決済の新たなツールが誕生しても、決済自体が終わることはない。

   「支払いという行為がより明確でなくなり、より抽象的になるにつれて、哲学的な分断と地政学的な争いがますます明白な、かつ激しいものになるだろう」と予想している。

   本書は専門的かつ網羅的に決済について解説しているので、ビジネス関係者に一読を勧めたい。(渡辺淳悦)

「教養としての決済」
ゴットフリート・レイブラント、ナターシャ・デ・テラン著 大久保彩訳
東洋経済新報社
2200円(税込)

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