円安に、物価高...高まる地域金融機関の信用リスクに日銀が警鐘

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債務者区分、厳しく判定「慎重にせざるを得ない」

   こうしたなか、日本銀行が10月に公表した金融システムレポートによると、金融機関の国内貸出は、企業の多くが厚めの流動性バッファーを確保しており、このことがストレス局面が長引くなかでも、「デフォルトを歴史的な低水準に抑制する一因となっている」としている。

   これは、地域金融機関の未保全・未引当率に全額保証の実質無利子融資が活用されているほか、前年度までに予防的な引当てを計上していたことで、地域銀行で3%台、信用金庫で4%台の、低くい未保全・未引当率に抑えられていることがある。

   その一方で、日銀は「原材料調達コストの増分を販売価格へ転嫁することが難しい企業の中には、今後、デフォルト確率が相応に上昇し得る先がある」と指摘する。たとえば、地域銀行や信用金庫の対面型サービス業(飲食・宿泊、個人向けサービス業)の中には、資金繰りや財務が悪化している企業もみられる。

   上場する地域銀行の2022年度中間決算をみても、収益状況は地域や経営規模によって差はあるものの、全体的には順調に推移した。ただ、地域銀行の一部では与信関係費用を増やしたり、取引先企業に対する債務者区分を厳しめに判定したりする銀行も、少なからずあった。ある地銀関係者は、コロナ禍の第8派が迫っていることもあり、「慎重にせざるを得ない」と話す。

   現状では、(1)コロナ禍の長期化(2)ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーや穀物、原材料価格の上昇(3)欧米の中央銀行の利上げ継続とそれに伴う海外経済の減速懸念――と、貸出先企業はまだまだストレスにさらされている。

   日銀は、ストレス局面が長引くもとでの潜在的な信用リスクが高まっているとみている。

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