物価上昇圧力は続く?
また、法的整理(倒産)の企業のうち、円安の影響を受けて倒産した10月の「円安倒産」は7件で、今年最多の8月に並んだ(帝国データバンク調べ)。
2022年は10月までに21件が判明。19年の22件を上回り、過去5年で最多となることが確実視されている。急速に進んだ最近の円安を受けて、8~10月の3か月だけで19件を数えるなど、夏場以降、円安倒産が急増している。
今年の21件を業種別に見ると、食品関連(製造・卸・小売)が6件でトップ。次いで、繊維関連が5件、機械器具と家具・建具関連がそれぞれ2件で続いた。負債規模別では、全体の6割強が負債5億円未満の倒産が占めた。
ドル円相場は10月20日、約32年ぶりの円安水準となる1ドル=150円の大台を突破したものの、足もとでは急激な円高となり、11月15日には137円台にまで回復してきた。
ただ、しばらくは日米の金利差拡大を背景にした円安ドル高基調が続く見通しには変わりない。円安にともなう物価上昇圧力は続くとみられ、企業を取り巻く収益環境は厳しさを増していきそうだ。
10月の全国企業倒産件数は594件で、低水準ながらも6か月連続で増加した。中小・零細企業の多くは、コロナ禍で経営体力を消耗した末に倒産に至ったケースが多く、なかでも足元の円安と物価高は「最後のひと押し」となる要因になり得る。
帝国データバンクは、「資金需要が高まり、かつ企業倒産が相次ぐ年末にかけて、円安、物価高による倒産はさらに増加していく可能性がある」と指摘している。