家事は「呪縛」ではない!
本書では、心身を消耗させる家事の呪縛から自分を守り、過ごしやすい家を維持していくための方法を、41の言葉にのせて指南している。
また、片づけのテクニックや、ノウハウを伝授する本ではない。ADHDや産後うつの当事者である著者が、ケアタスクの意味を明確にして、自分に優しく取り組めるように説いた本である。
指摘ポイントもかなり鋭い。「リサイクルに出そうと思っていた衣類が6か月以上も部屋にあるなら迷わず捨ててください。何も起きないから!」と言い放っている。または、「不要になったものを誰かにあげようと思っているなら・・・やめろ!」とド直球。誰かの必要のないものは、他の誰かにとっても必要がないことは明らかである。
「家がぐちゃぐちゃ!」...そう言われて、ドキッとするのはあなただけではない。家がぐちゃぐちゃでいつも余裕がなく、そこを抜け出したいなら、自覚することが第一歩である。家事には「呪縛」がある。でも、呪縛にしばられると、自分への「気配りや心遣い」に気が回らない。この折り合いがうまくつけられないと、心身ともに疲れ切ってしまうだろう。
とはいえ、じっくりと考えている暇などないのが「家事」の実情。毎日、終わりの見えない「家事」がおそってくる。家事は呪縛などではなく、みんなが快適に過ごすためのもの。しかし、心に余裕がなければできない。コロナ禍で家族と向き合うことが増えた今、家事で悩む人は少なくない。いまこそ、自分をじっくり見つめ直してはいかが。(尾藤克之)