関西の「そんな人がいてもおもろいやんな」と許容する文化
今回の調査結果について、京都大学こころの未来研究センターの内田由紀子教授(社会心理学・文化心理学専攻)は次のようなコメントを寄せ、分析している。
「今回の調査の結果でとても大切なメッセージは、自らの思いを伝え、他者と感情的に共感・共鳴し、面白かった経験を人とシェアしようという思いがあることが、ウェルビーイング(前向きでポジティブな気持ちや感情を持っている状態)につながっている、ということです。
かつて幸せは『あくまで個人の問題』とされ、個人がスキルアップしたり、お金を稼いだり、得られたお金で余暇を楽しんだり、という蓄積⇒消費のサイクルから得られる個人的幸福感が、マーケットの中でも注目されていました。
しかしこれからより重要になるのは他者と幸せを共有することができ、いろいろな幸せの形があることを皆で受け入れていくような場所づくりです。関西の風土が持つ、緩やかで、『ま、そんな人がいてもおもしろいやんな』と許容し、面白がる文化的基盤が、『場所づくり』を支えてきたのかもしれません。
失敗してもその経験を人と共有して、笑いに変えたりもできます。他者の多様性やチャレンジを受け入れることで、自らの日常にも感謝し、肯定できるようになるのではないでしょうか」
調査は2022年8月12日~2022年8月16日、20代~50代の働いている男女を対象にアンケートを行なった。サンプル数は、関東エリア(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)、関西エリア(大阪府、兵庫県、京都府)の各エリアから3000人ずつを選んだ。(福田和郎)