正社員の賃金「低すぎる」4割の調査結果...年収の理想と現実ギャップは100万円 「将来の生活への金銭的不安感じる」71.5%

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   資源高と円安による、いまの物価上昇。家計への影響もままならないなか、会社員の収入はこの先どうなるのだろう――。

   マイナビでは、同社が運営する総合転職情報サイト「マイナビ転職」で、正社員1200人を対象とした「正社員の賃金上昇実態と生活満足度調査」の結果を、2022年11月10日に発表した。調査から明らかになった正社員の賃金実態とは?

  • 正社員の賃金実態とは?(写真はイメージ)
    正社員の賃金実態とは?(写真はイメージ)
  • 正社員の賃金実態とは?(写真はイメージ)

20代~50代の正社員、年収の中央値は450万円

   今回の調査ではまず、ずばり、20代~50代の正社員に現在の年収を聞いた。その結果、中央値は450万円となった。各世代を見ると、20代は350万円、30代は425万円、40代は500万円、50代は600万円と続いた。【図表1】

(図表1)現在の年収(マイナビの作成)
(図表1)現在の年収(マイナビの作成)

   続く質問では、「年収は見合っていると思うか」を聞くと、自身の年収が「低すぎる」と回答した人は全体で43.0%という結果に。これは、「妥当」(33.3%)を上回る数字だ。なお、年収が働きに見合っていない(低すぎる)と思うと答えた515人を対象として、見合うと思う賃金(年収)を見たところ、全体の中央値500万円に対し、理想と現実の差額は100万円(月額8.3万円)の差が出たという。【図表2、3】

(図表2、3)「年収は見合っていると思うか」「見合うと思う年収」(マイナビの作成)
(図表2、3)「年収は見合っていると思うか」「見合うと思う年収」(マイナビの作成)

   また、「年収の変化」についても聞いた。それによると、5年前と比べて、年収が上がった人は41.9%で、上昇額の中央値は50万円だった。月額換算では4.2万円。マイナビは「物価高や増税の影響を考えると、年収が上がった人でも家計の好転は実感しづらいことがうかがえる」としている。【図表4】

(図表4)年収の変化(5年前)(マイナビの作成)
(図表4)年収の変化(5年前)(マイナビの作成)

   そして、5年後に「年収は上がると思うか」との質問では、全体では「変わらないと思う(46.6%)」が「上がると思う(37.3%)」を上回り、賃金の上昇に悲観的な様子がうかがえた。【図表5】

(図表5)年収は上がると思うか(5年後)(マイナビの作成)
(図表5)年収は上がると思うか(5年後)(マイナビの作成)

今の生活の金銭的満足度...「不満」57.8%

   また、「今の生活の金銭的満足度」については、全体では「不満」が57.8%と半数を超えた。年収別で「不満」の比率を見ると「300万円未満(77.1%)」、「300万円~500万円(64.0%)」。

   これに対して、年収500万円以上では「満足」と「不満」がほぼ同等、700万円以上では逆転する結果になった。さらに、「将来の生活への金銭的不安」では、全体では「不安」と回答した人は71.5%にのぼった。【図表6、7】

(図表6、7)「今の生活の金銭的満足度」「将来の生活への金銭的不安」(マイナビの作成)
(図表6、7)「今の生活の金銭的満足度」「将来の生活への金銭的不安」(マイナビの作成)

   一方、「年収を上げるために行っている行動」では、「今の会社で年収を上げるための勉強・リスキリングを行っている」(20.2%)、「今の会社以外の収入は得ていないが、検討している」(15.4%)、「今の会社以外(副業など)で年収を上げるための勉強・リスキリングを行っている」(13.5%)などがあった一方で、「特に何もしていない」は50.1%だった。

   今回の調査結果をうけて、「マイナビ転職」編集長の荻田泰夫氏は、

「今回の調査で、正社員の賃金満足度と生活への不安が明らかになりました。賃金別に見ると、年収300万円以下の人に関しては、約半数が『年収が低すぎる』と感じ、約8割が生活に不満を持っていることがわかりました。
これでは、やりがいを感じる仕事でも生活事情を理由に諦めざるを得ないと離職していく人が出てくる可能性があります。賃金と人材定着の問題は、企業にとって看過できない課題と言えるでしょう」

と指摘。また、個人のスキルアップや「稼ぐ力」をつけることに前向きな傾向が見られたことについて、

「ジョブ型雇用の導入検討など、スキル・職務を重視した賃金の見直しが議論され始めるなかで、スキルを身に付けて自分の市場価値を上げることは、長いキャリアにおいてますます重要性を帯びてくるでしょう。
社員一人一人の挑戦を後押し、評価する環境の整備、社員が身に付けたスキルを社内で発揮できる機会など、環境を整えて好循環をまわしていくことが、企業経営に求められるようになると考えられます」

とコメントしている。

   なお、調査は2022年9月30日~10月2日、ウェブを通じておこなわれた。有効回答数は1200人(20代、30代、40代、50代の正社員各300人)。

姉妹サイト