半導体に回復の動き
「週刊エコノミスト」(2022年11月29日号)の特集は、「半導体 反転の号砲」。金利の先高観が一服する中、「長期的な成長シナリオは不変」として、半導体株を買い戻す動きが出始めたという。
「2023年1~3月期を底に回復へ DX、GX投資がけん引」と予想しているのは、OMDIAシニアコンサルティングディレクターの南川明氏だ。回復の要因を2つ挙げている。
1つ目は、ウクライナ紛争で止まっている各国のカーボンゼロ政策の投資が回復することだ。ウクライナ紛争が収束すると、500兆円規模の計画されていた投資が再開すると見ている。
2つ目はメタバース(インターネット上の仮想空間)実現に向けたデータセンター投資だ。米マイクロソフトやグーグルなどが25年からのサービス開始を計画しており、2年後半から徐々に投資をしないと間に合わないという。
「半導体株は市況や個別企業の業績を確認しながら戻りを試す展開を想定している」と予想している。
日本の半導体が復活する可能性はあるのか? 服部コンサルティング・インターナショナル代表の服部毅氏は、経済産業省が描く3つのシナリオに言及している。
1つ目は米国勢との「共同開発」。岸田バイデン両首脳の肝いりで本命視されているが、2つ目は「欧州勢との技術提携」だ。ベルギーの先端半導体技術研究機関であるimec(アイメック)と技術提携し、さらには研究開発拠点を日本のつくばに誘致するというもの。
3つ目は、「TSMC最先端工場誘致」だ。熊本に10年古い28ナノメートルプロセスを用いた工場誘致に成功したが、最先端工場の建設には同意していない。すべては「カネ次第」だという。(渡辺淳悦)