日本人の人権意識はどう変わったか?...今、関心高いのは「インターネット上の誹謗中傷」(鷲尾香一)

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関心ある項目...「インターネット上の誹謗中傷」53.0%、「障害者」50.8%、「子ども」43.1%、「女性」42.5%

   では、日本人はどのような人権問題に対して、関心があるかと言えば、最も多いのは、「インターネット上の誹謗中傷などの人権侵害」で53.0%を占めている。

   次いで、「障害者」50.8%、「子ども」43.1%、「女性」42.5%、「風評に基づく偏見や差別など災害に伴う人権侵害」32.6%、「高齢者」30.1%が上位となっている。各項目を詳しく見ていこう。

   「インターネットに関して、人権問題だと思ったこと」を尋ねたところ、「他人を誹謗中傷する情報が掲載されること」が67.7%と圧倒的に多く、次いで、「他人に差別をしようとする気持ちを起こさせたり、それを助長するような情報が掲載されること」が42.8%、「プライバシーに関する情報が掲載されること」が42.5%だった。

   「障害者に関して人権問題だと思ったこと」を尋ねると、「職場、学校などで嫌がらせやいじめを受けること」が43.3%、「じろじろ見られたり、避けられたりすること」が40.7%、「差別的な言葉を言われること」が38.9%、「就職・職場で不利な扱いを受けること」が 38.2%と続いた。

   「子どもに関して人権問題だと思ったこと」では、「いじめを受けること」が65.2%と圧倒的に多く、次いで、「いじめ、体罰や虐待について、周りの人が、気がついているのに何もしないこと」が56.0%、「虐待を受けること」が53.9%と多かった。

   「女性に関して人権問題だと思ったこと」では、「『家事は女性』など男女の固定的な役割分担意識に基づく差別的取扱いを受けること」が47.0%、「セクシュアル・ハラスメント」が42.0%、「女性が管理職になりにくいなど職場において差別待遇を受けること」が39.0%、「配偶者やパートナーからの暴力などのドメスティック・バイオレンス」が31.6%などだった。

   「高齢者に関して人権問題だと思ったこと」では、「悪徳商法、特殊詐欺の被害が多いこと」が44.7%、「病院での看護や介護施設において劣悪な処遇や虐待を受けること」が33.6%、「高齢者が邪魔者扱いされること」が31.7%などだった。

   俯瞰すると、日本人が人権問題だと取られていることは、身近に起きていることが中心となっており、さらに、「いじめ、体罰、虐待」や「セクハラ、ドメスティック・バイオレンス」、「悪徳商法、特殊詐欺」といった明らかな犯罪行為の被害に対して、人権意識を持つケースが多いようだ。

   そして、残念なことに、たとえば「LGBTQなどの性的マイノリティ」や「部落差別・同和問題」、「ハンセン病患者・元患者やその家族」、「アイヌの人々」のように、基本的人権が侵されていると考えられるマイノリティについては関心が低くなっている。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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