「スマホで簡単 月収100万円」「定型文をコピペして送信するだけ」「たった15分の作業」...。
こんな甘い副業の勧誘に引っかかり、大金を失う若者が後を絶たないため、消費者庁が2022年11月17日、悪質な2社の実名を公表するとともに、そのトンデモ手口を記した注意喚起のリポートを公式サイトに掲載した。
昨年5月以降、全国の消費生活センターに類似の手口の被害相談を相次いでいるため、注意するよう訴えている。
最初は「コピペ」だけのはずだが、途中から話が変わる
消費者庁が、消費者安全法第38条第1項(消費者の被害拡大や類似事故防止のために企業情報を公表する)に基づき、公式サイトに注意喚起の情報を公開したのは、株式会社クレヴァー(東京都中野区中央1丁目)と、株式会社カーマイン(東京都新宿区西新宿7丁目)の2社だ。
2社とも、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(虚偽・誇大な広告・表示および断定的判断の提供)を行なっていたとして、同法の調査対象にした。なお、「クレヴァー」は今年7月、「カーマイン」は今年4月に会社を解散した。
2社とも手口は同じだ。それぞれ、「7(セブン)」「富士」「マーロン」「AJ」などの名称で、専用のアプリやシステムを使って、リアルタイムで動画を配信する「副業」を行なうためのマニュアルを購入させる仕組みだ。その後、高額のサポートプランを契約させ、多額の金銭を支払わせていた。
その方法は次の通りだ。
(1)消費者がスマホやパソコンの検索サイトで「副業」、「簡単」、「在宅ワーク」などと検索すると、副業紹介サイトや副業ランキングサイトが表示され、2社のウェブサイトにたどりつく。
「簡単な作業 スマホのみ」などと表示されており、興味を持った者はLINEアカウントの友だち登録を促される。友だち登録をすると、「かな」「りえママ」といった女性名のアカウント(勧誘アカウント)からメッセージが送信されてくる。
(2)勧誘アカウントからは、「たった15分の作業だけで1万円の報酬となり、3か月後の報酬まで安定収入になります」「既に用意された文章をコピペして大手のサイトなどに貼り付けるだけ」などと副業紹介のメッセージが送信されてくる【図表1参照】。
興味を持った者に、件副業を行うためにはマニュアルを購入する必要があると伝え、2万円前後の代金を支払わせるよう仕向ける。